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反則
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社会人である宇榮原がカフェ・リノで働く可能性はないに等しい、とわかっているから冗談として言ったのだ。
優典の気遣いが伝ったのか宇榮原はそれ以上突っ込まずに、わかりました!ケーキ代しっかりと働かせてもらいます、
と軽口で返してくれて優典は安堵してほっと胸を撫で下ろす。
宇榮原の前にコーヒーとケーキが並べられる。
「どうぞ」
「いただきます」
宇榮原は行儀よく手を合わせてから、フォークを持ち、ケーキを一口食べる。
「‥美味しい!」
優典に向って宇榮原は微笑む。
(あ…)
その笑顔で優典の胸も温かくなって、自然と笑みが零れた。
「良かった…。嘘でも美味しいと言ってくれて嬉しいです」
宇榮原が一瞬動きを止めて、それから頬が朱に染まる。
今のは反則だろ、と一人で呟きながら宇榮原がコーヒーを啜ると、顔を顰めてコーヒーを見つめる。
(あれ、もしかして宇榮原さん…)
カフェ・リノにドアに掛けている鈴の音が鳴る。
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