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宣戦布告
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自分よりも小さな手で掬ってくれた涙。
あの小さな手の温もりは忘れることは出来ない。
「その時、決めたんです。このカフェ・リノを継ごうって。おじぃちゃんが築きあげたものを。常連さんの憩いの場を。子供達が寂しくない場を。そしてカフェ・リノに来てくれるお客様の笑顔を。僕がすべて引き継いで守ろう、って」
優典は力強く頷く。
「このお店を継ぐことが、今までカフェを愛してくれた常連さんや僕がお世話になった人達の恩返しみたいなものなんです」
優典は宇榮原をまっすぐ見つめた。
「だから近くに新しくカフェができようが関係ないです。僕はカフェ・リノに来てくれる人達の笑顔を守るだけです」
これが優典なりの宣戦布告だ。
宇榮原は一回視線を下にやって、肩を竦める。
そして優典を見つめて、ふと表情を崩した。
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