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密偵
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「はっきりいって、このお店はここの場所でおじぃちゃんを愛してくれる常連さんがいないと通用しないお店なんです」
優典はそのことをちゃんとわかっている。
「だから宇榮原さんは、そこの会社で万人に通用するコーヒーの美味しさとかノウハウをちゃんと学んで、それから自分の思い描くお店を出せばといい、と思います」
あ、と優典は思い出したように言う。
「後、お店出す時は一、二年は赤字だと思って、それも考えて金銭的なことや時期を見て、自分のお店を出して下さい」
優典は真剣なのに、宇榮原がプッ!と笑い出して、そして優典に抱きついた。
「え?…あ、あのっ!う、う、‥宇榮原さんっっ!?」
「ねぇ、密偵なのに、なんでそんなに優しくするの?」
耳元に宇榮原の吐息を感じてしまい、優典の心臓が一気に速くなり頬が真っ赤だ。
「密偵に塩じゃなくて、砂糖をまく人はじめて見たわ…」
優典はおまじないをかけられたように、身体が動かない。
(な…、なにこれ…?)
「俺、誤解しちゃうよ?」
いや、と宇榮原は続ける。
「もう誤解しちゃっているけど」
宇榮原がクスっと笑う。
「もうだめだわ。やっぱり俺、あんたの虜だわ」
宇榮原の腕の力が強くなる。
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