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Ⅳ
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嫌だって言ってるのに、一木がいつものように口を滑らせてバイト先まで着いてきた。
そして俺と一木を置いて店長と話をしに店の奥へと消えて行った。
「……一木、お前のせいだからな」
「ごめんって」
「何度目だよ」
ふかーい溜息をつくと、一木は両手を合わせて頭を下げた。
「マジでゴメンって。お前が誰かを嫌いとか言うの、初めて見たからさ」
「何で。俺だって嫌いな人くらいいるぞ」
「え。嫌いとかじゃなくて他人に興味ないのかと思った。いつも表情変わんないし」
一木に言われて、確かにと納得した。俺は大体誰が何しようがどうでもいいと思っていた。
今が穏やかに過ごせればそれでいいと。
それが態度にも表れていたんだろう。
「お待たせ。志賀くん、今日は休んでいいって」
そう言って織部薫が店長と一緒に来た。店長は織部薫に対してあからさまに腰が低かった。
芸能人とか、何か苦手そうだもんな……店長……。ごめんなさい……。
「でも、店長……俺」
「大丈夫。仕方ない事だからね、気にしなくていい」
店長は俺の事をよく心配して気にかけてくれる。まるで自分の子供みたいに。
安心させようと俺の頭を優しく撫でてくれた。
「すみません、店長。明日は絶対行きますから!」
「来れる時でいいよ。また明日」
「はい、じゃあ決まりだね。家を教えてよ、送るから」
俺はあっという間に織部薫の車に乗せられた。一木にも店長にもまだ挨拶してねえのに。
俺の不服そうな態度に気付いたらしい織部薫が俺を見て笑った。
それを見て俺はもっと不機嫌になった。
「あんた、強引すぎる」
俺が窓の外を見ながら言うと、織部薫はまた笑っていた。とても楽しそうに。
「だって、君面白いんだもん。やっと敬語をなくしてくれたね」
「……すみません」
「謝らなくていいのに」
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