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あの後俺は、木賊に一通り体の調子を診てもらった。(勿論尻は断固として拒否した。)
ちょっと体にダルさはのこるものの、特に酷い所や症状はなかった。
汗やらでややベタつく体を、木賊の手から奪い取った布で拭きながら、こんな事になってるのもあの燃えるような赤い髪の男のせいだと、こちらを見ながら不敵に笑うその姿を思い出し、俺は眉間にシワをよせる。
そんな色んな事にイラつきムスくれている俺をよそに、木賊は楽しいそうに色んな話を聞かせてきた。
この国は緋の国といい、王である蘇芳を中心とし宰相の木賊と他大臣四人が治める国で、広い海にいくつもある人魚の国の中で最も大きな国らしい。
そんな凄い国が自分の住んでいた場所の近くにあったなんて、俺は密かに驚いた。
まだみていないこの国は城を中心に、石膏のような白い都市が円をかくように広がり、国の全体には蘇芳により大きな結界が張られている。
この結界は代々王がはり国を守る。
結界は、あらゆる物からの防御の他、光の届きにくい海底内の日光調整や酸素調整など様々な役割を果たしている。
この結界のため俺もこの海底の中で生きていられるのだとか。
( 確かに、普通に考えて俺海の中で生きてらんないよな、、、)
汗ばんだ腕を濡れた布で拭きながら、もし、その結界がなかったらと、俺は少しゾッとした。
そのせいか、俺の顔色が少し悪くなったようでニコニコ話をしていた木賊が、心配そうに眉根を寄せ「 顔色悪いけど大丈夫?どこか辛い?ごめんね、無理させちゃったかな?」
俺はそれに対して違うと首を振る。
「 大丈夫だから、、、続けて。」
すると木賊は「本当に?少しでもしんどくなったらいうんだよ?」と言った。
そして、人魚は大なり小なり皆に魔力があり、それを使い生活する、、らしい。
畑や家畜なんかもいて、野菜を育てたり、卵をとったりと陸と変わらないような生活をしているんだとか。
「 なんだか現実味のない話だ、、、。」
困惑気味にそう言えば、木賊は口元を片方の拳で隠しながら上品に笑った。
くすくすと笑うたびに髪がゆらゆらと揺れて思わず目で追ってしまう。
「 ふふ、、そうだよね。風音君みたいな人間にはあんまり現実味ないよね。」
そう言いなごら木賊は、その視線を横にある小窓へとうつした。
そこからはまるで地上にいるのと変わらないような景色が少しだが見える。
いくつも並ぶ白い家や草木、結界とやらでいじられてはいるが陸と変わらない暖かな日差し。
強いて言うなら、そこにいるのが人間か人魚かの違いだろうか、、、。いや、今窓辺を見たこともない魚が通過したのでやっぱり色々違うようだ。
俺はこの結界どうなってんだと本気で思った。
なんで水がないのに魚がおよいでんだ。
そんなこと言ったら人魚もそうか、、ダメだ考えるのをやめようと俺はすぐに諦めた。わからないものはわからないのだ。
「 人魚達は普段地上に上がらないし、蘇芳の結界によってこの国はあらゆるものから隠されているんだ。人間にはとても潜れる深さでもないしね。本来なら出会う事はないんだけど、、たまに君みたいな子が来るんだ。」
「、、、、、きたくてきたんじゃないけどな。」
思い出して湧き上がる村人への怒りや、やるせなさ。
俺は視線を自分の手にうつし、少し乾燥した指先をいじる。
「、、、うん。そうだね。」
木賊はそんな俺を見て同じように目を伏せそう呟いた。
「 もう、色々ありすぎて頭の中がぐちゃぐちゃだ、、、俺これからどうすっかな、、なんか帰してくれそうにないし、、、、。食われんのかな、、、。」
半分諦めたようにそう呟けば、木賊が急に俺の手を握ってきた。
突然の事で、びくりと体が反応する。
パッと顔を上げて木賊をみればその表情は真剣そのものであった。
「 大丈夫だよ。それはさせないから。それに蘇芳もそれは考えてないと思う、、、。今は早く元気になる事を考えよう?熱は無いけど顔色は良くないからね。後2日くらいは安静にして、それから今後の事は考えよ?」
ね?っといいきかせるようにそう言う姿に、俺は口をへの字にまげる。
「本当かよ、、、、、てか、あいつはクソ野郎だけど、あんたは割とまともなんだな、、、。」
俺の言葉に木賊は少し困ったように微笑んだ。
「 僕は人間が好きだから食べて欲しくないんだ、、。だから今度こそ止めて見せるから。蘇芳にあの無駄に歳くった狸じじいみたいになってほしくないからね、、、。」
最後の方はボソボソと言うものだから、全く聞こえなかったが、人間を好きだと言った時の表情がなんだかちょっとせつなげだったから、この人はちょっとは信じてもいいかな?とそう思った。
少なくともあのクソ野郎よりはかなりマトモそうだし。
俺はとにかく木賊の言う通り今はこの体をどうにかしようとそう思った。
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