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The wing which died surely turns into love
胸の奥に感じる不快感
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今は、俺が唯一、ネコになる相手。
…、俺の……恋人…、だったっけ……?
ふふっと小さく笑った佳梛は、俺の頭を一撫ぜし、身体を起こした。
俺は、ベッドに座り込み、頭をぼりぼりと掻いた。
「ぁー…、なんか気持ち悪い」
思考が散らされているようにまとまらず、胸の中が、ムカムカする。
佳梛は立ち上がると、18畳のワンルームの部屋を歩く。
玄関横にあるキッチンへと向い、小さな黒い冷蔵庫を開けた。
ぷしっと音を立て、ミネラルウォーターの蓋を開けると、一口、口に含み、ちらりと俺に視線を投げた。
「なに?」
意味あり気な佳梛の視線に、問いかける声を放つ。
なんだかスッキリしない頭に、髪をぐしゃぐしゃと混ぜながら、欠伸をした。
「…猪野も、飲む?」
首を傾げる佳梛に、思わず笑った。
笑う俺に、佳梛は不思議そうな瞳を向ける。
「なんで苗字呼び? すっげぇ、他人行儀っ。いっつも結芽って呼ぶじゃん?」
俺を下の名前で呼ぶのは、佳梛だけだった。
″結芽″なんて女くさい名前、俺は嫌いだった。
でも、佳梛も同じような雰囲気の名前で。
ただ、好きな人に呼ばれるなら、苗字より、名前の方が…好き、だった。
あれ…、なんで過去形、なんだ?
ベッドに寄った佳梛の手が、ふわりと俺のうなじに触れた。
「難しいこと考えんなよ…」
佳梛に触れられる度に、俺の頭の中がクリアになっていく気がした。
「あー、………」
もやもやと立ち込めていた黒い霧のようなものが、白い風に流される気がした。
「バカなんだから…」
ボソッと放たれた佳梛の言葉に、ぐっと眉間に皺を寄せ、睨むような視線を向けた。
「はぁ?」
不服げに放った俺の声に、佳梛は、危険を回避するように、トンッと後ろへ一歩後退した。
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