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The wing which died surely turns into love
不機嫌顔の外村さん < Side Y
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「そのまま連れて帰られて、いつからか……恋人になってた」
佳梛は、ケラケラと笑い飛ばした。
俺は、外村の素性がわからずに、不審げな瞳を向ける。
「あんとき、言ったこと何も実行できないけどね」
ふっと鼻を鳴らした外村は、言葉を繋げる。
「金だけはあるけど、そんな暴力的な力は持ち合わせてねぇよ」
あ、金で解決できるんなら、何でも出来るけどね…、したり顔で俺を見やる外村。
どこか敵対心が、見え隠れする。
「外村が金持ちで良かったよ」
佳梛は、くくっと詰まるように笑い、思い出したように言葉を繋げた。
「美容師っていう職業に興味はあったけど、女に興味は無かったんだよね。でも、女に興味があるのが普通だから、俺は、結芽に嘘を吐いてた」
ちらりと、俺の顔色を窺うような瞳を向ける佳梛。
「俺がカットの練習台になってるの、じっと見てたもんな」
懐かしそうに言葉を紡いだ外村は、唇に綺麗な弧を描く。
「美容師になりたいのかって聞いたら、″高校中退、金なしだから無理″ってお前は言ったけど……」
言葉を紡ぎつつ、外村の指先が、佳梛のオレンジ色の髪を摘まみ、愛おしそうに弄る。
「″高認とって、国家試験に合格すりゃなれる″って…、″金の心配なんてする必要ない″って俺を美容師にしてくれたの」
外村の言葉を繋ぐように、付け加えた佳梛は、親指で外村を指し示し、笑んだ。
「銀髪の結芽……、カッコ良かったなぁ…」
佳梛の手が、俺の髪に伸びる。
触れる前に、その手は外村に捕まえられる。
佳梛と俺の視線が外村に向けば、むすっとご機嫌斜めな顔がそこにあった。
ふっと笑った佳梛は、また、顔を真剣なものにする。
「あん時、巻き込んで本当に申し訳なく、思ってる……」
佳梛は、ゆっくりと俺に向かい頭を下げた。
「いや。巻き込まれたっていうより、俺が勝手に首突っ込んだだけだし。佳梛が申し訳なく思う必要ないよ」
気にする必要なんてないと言うように、俺は、オレンジの頭を、くしゃっと撫で回した。
外村は、ずっと面白くなさそうな顔をしていた。
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