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The wing which died surely turns into love
愛しているから守りたい < Side G
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「ねぇ。音里、どこに居るの?」
牢獄の檻の先から、見下すような瞳と供に声を掛ける秋雨。
呪力の高い私は、地上に堕とされるコトもなかった。
この地の者から音里の姿を消すために、ネックレスと刺青を着けた。
ネックレスと刺青は、彼らを殺すためのものではなく、守るためのもの。
結芽にネックレスをかけたのは、少なからず音里の痕跡が身体に残っているから。
そこから辿られてしまったら、音里が危ないからだ。
秋雨は、音里を毛嫌いしていた。
隙あらば、音里を消してしまおうと、虎視眈々を狙っていた。
…昔、音里に女を取られたと、根に持っていた。
逆恨みも甚だしい。
そんな音里を庇う私をも。
何でも卒なくこなす私を、目の上のたんこぶのように、鬱陶しがった。
隙あらば、私や音里を葬ろうと企んでいたのだ。
「何を言ってるのでしょうね。音里は、もう居ませんよ……」
秋雨は、音里を葬るつもりだ……。
私は、音里を売るようなことは、しない。
私は、愛する彼を、渡したりしない。
遙夢との約束など、存在しなくとも……。
数日前。遙夢の先導で、私は、ここへと連れて来られた。
「音里は、貴方に滅せられたというコトで処理されましたけど……」
私を牢獄へと導く最中、ちらりと遙夢の瞳が私を見やった。
「嘘ですよね?」
遙夢は可笑しそうに瞳を細め、私へと瞳を向けた。
遙夢は、咎められる前の私よりも数段、階級が上だった。
そんな遙夢に隠し事をするなど、到底無理な話だった。
他の誰にも負けないほどの呪力があっても、遙夢にだけは敵わないと本能的に感じ取っている。
視線を外したところで、瞳を開かされ、抉るように記憶を読まれるだけだ。
それならば、先に曝け出した方が、まだましだ。
「嘘ですよ。私が隠しました。記憶も、消去…していない……」
面倒事を嫌う遙夢なら、あえて音里を探しだし、消そうともしないだろう。
「別に、咎める気もありませんけど……」
視線を外した遙夢は、微かに表情を歪め、言葉を繋ぐ。
「秋雨も薄々、勘づいているのが気に食わない……」
秋雨は、私と一緒に音里を管理していた監視者。
そして、この遙夢の弟だ。
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