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The wing which died surely turns into love
求めてはくれない
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月香の身体を横向きにし、添い寝するように後ろから抱き締める。
熱く拍動するその部分が月香に触れぬよう、小さく腰を引く。
「陽静……?」
しがみつくように回されているオレの腕に触れた月香の手。
上手く力が入らない月香の指先は、小刻みに震え続ける。
「何?」
明るく放つ声に、月香は言葉を詰まらせる。
その沈黙は、オレがイっていないコトを暗に示唆し、申し訳なさげな雰囲気を纏う。
「平気。平気……」
額を月香の翼の付け根部分に押しつけ、甘えるように擦り寄った。
「オレは、いいの」
誤魔化すように笑っても、心の底は泣いていて。
出せなかった欲求は暴れ、胸の奥が痛いままだ。
「貴方の性欲を処理するために、抱くんでしょう? 本末転倒じゃないですか……」
はぁっと面倒そうに吐かれる月香の溜め息。
心臓が、きゅっと掴まれたように、痛い。
「違うよ。月香を気持ち良くさせたいだけだし……」
ぐりぐりと額を押し付け、胸の痛みを誤魔化すように甘えた。
「抱きたくなったのは、貴方でしょう」
月香は、力の入らない四肢で身体を返し、オレに向き合う。
オレは、身体を丸めるように縮め、月香の腹の辺りをぼんやりと眺めていた。
胸許にあるオレの頭を、月香は、掻き抱く。
慰めるように、震える指先がオレの髪を梳いていった。
月香の手は、オレには縋らない。
求めるように、触れたりもしない。
その手は、オレを慰めるコトしかしない。
ただ、オレが好きなだけ……。
一方通行の想いは、跳ね返り、オレの心を蝕んでいく。
それでもいいから傍に居たいと望んだのは自分だから。
この痛みごと愛するしか、傍に居る手段はない。
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