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The wing which died surely turns into love
理屈じゃなくて、本能で
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唇を塞ぐ陽静の手を剥がし、口を開いた。
「でも。このままでは、陽静がっ……」
「てかね、あいつオレの呪力から生まれたもんだよ? 平気に決まってるでしょ」
私の言葉を遮るように、陽静が声を被せた。
陽静は、余裕そうに、笑って見せる。
でも、血色の良かった頬が、みるみるうちに、青白く変色していった。
「それに、そんなに深く噛まれてないから、平気だよ」
かくんっと、急に陽静の膝が折れた。
「ぅおっ……」
陽静の右の翼の先が、黒く変色していく。
「陽静っ」
変色した翼に触れたくても触れられない私は、陽静の名を呼ぶことしか、出来ない。
こめかみを押さえた陽静は、頭を大きく振るう。
「……、平気、平気」
左手で私を制止しながら、陽静は、身体を立て直す。
「何故……。何故、私なんかを……」
ぐっと寄る眉根に、陽静は、呆れたような顔をした。
「好きだからに決まってるでしょ。愛されてなくても、好きな人は守りたい。そこに理屈はいらないでしょ」
小馬鹿にするように、声を放った陽静は、ゆっくりとブロック塀へと背を預けた。
「平気なんだけど……、ごめん、ちょっと休みたい」
困ったような笑顔を浮かべた陽静は、私へと伺い立てた。
陽静の瞳が、道路へと倒れている秋雨を見やる。
「こいつもここに置いておくわけにもいかないし……」
陽静は、自分の羽を1枚手に取った。
羽が形を変え、1羽の小さな青い鳥へと変化した。
小鳥は、空へと瞳を据え、小さな翼をはためかせ飛び立つ。
「遙夢呼んだから。ちょっと待って……」
弱く消えそうに言葉を紡いだ陽静は、ブロック塀に凭れ、何とか立っている状態だった。
「陽静……?」
傍へと寄る私に軽く手を上げ、応えるも、喋るのは辛そうだった。
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