アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
48
-
カ「綺麗に縫われてるから傷はあらかた治せると思う
でも、腕の欠損は自分も初めてだから何とも言えない
まぁ、本人の気持ち次第かな」
ハ「気持ち次第と言うと?」
カ「僕ができるのは傷を治すためのきっかけ…
まぁ、治癒の手助けをすることしか出来ない
だから治すには本人次第、
つまり本人の生きたいって気持ちが関わってくるんだ
本人に生存の意思がなければ治るものも治らないってこと」
既に心が死んでなきゃいいけど…とカイルは呟いた
その呟いた言葉は医務室にいた3人にははっきり聞こえていた
すると、眠っていた人魚が身動ぎをし、瞼が持ち上がった
ハ「起きたのか?気分はどうだ?」
顔を覗き込んだハイドラに対し人魚は、か細い声で大丈夫、とだけ応えふにゃりと微笑んだ
作った感情だとしても表情があるし、まだ可能性はあるかな…
カイルは内心そう思った
ハ「良かった。そういえば、前に話した知り合いの人魚の話を
覚えてるか?」
その問いにこくりと頷くと、視線に気がついたのか、ハイドラから視線を外しカイルを見た
そして、カイルを見た瞬間目を見開いた
人魚「貴方は…」
カ「僕はカイル。南の海を中心に生活してる
今はそこに居るラウトのプロポーズを承諾して、
この船にいることになった。君は?」
人魚「わ、私は、テティス…です
大体はシャルバンの海底にいるので、北寄りです」
シャルバンか…
カ「今後住処を変える予定は?」
テ「……そう、ですね…」
渋るなぁ…単刀直入に聴いちゃう?…僕の話し方だと威圧的になっちゃうかもだけど…
カ「んー。言い方変えるけど、生きる意思はあるの?」
ハ「カイル君それは…」
カ「ハイドラさんごめんね。治すためには必要なことなの
それに、治癒に必要な物はこれから取りに行くし、
それがあるのはそれなりに危ない場所なの
生きる意思がない子のために自分の命をかける気は無いよ」
カイルの言葉を聞き、ハイドラは黙る。言い方はキツいが、正論だからだ
静まり返った室内。第一声を発したのはラウトだった
ラ「お前の命をかけるほど危ねぇ場所なのか?」
カ「まぁそれなりにね。物分りが悪くて話が通じない
獰猛な大型魚類が多く生息してるところだからさ
下手すれば自分がそいつらに食われる可能性だってある」
そうか、と発したあとラウトはテティスに目を向けた
ラ「今の話を聞いて、お前はどうしてぇのか
聞いてもいいか?」
テ「私は…」
そう言いながらテティスは腕が欠損した部分に手で触れる
そして、目を潤ませながら口を開いた
テ「もう一度、アクセサリーを作りたいです…
綺麗な姿で思い切り海を泳ぎたいです」
そう言って力強い眼差しでカイルを見た
テ「私に力を貸してください」
カ「わかった。とりあえず、今から治療を始めさせてもらう
あと、腕を治す時は君にも共鳴してもらいたいんだけど、
出来そう?」
テ「4割程度くらいなら」
カ「十分。ラウト、使えそうな薬があったはずだから、
部屋にある袋から持ってくる」
ラ「わかった。オスカーついて行け」
オ「了解、船長」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
51 / 67