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早川の好きな人
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「…そろそろ予鈴が鳴る。教室に行くぞ」
広げていた参考書を片付け、カバンにしまうと「遅刻はダメだからな」と机に突っ伏して寝ていた鶴見の肩を揺する。
「ん…んん……」
「ほら、早く起きろ」
べしべしと頭を叩き、やっと鶴見が起き上がる。
「もっと優しく起こせや…新婚みたいに起こせや…」
「な…んで、俺が鶴見と新婚ごっこなんか…ほらカバン!早く行くぞ」
鶴見のカバンを持って急かす早川に「へいへい」と返事をして立ち上がった。
「……あ、ほら、あれがさっき言った水橋さん。あの端の席の…」
「へぇ、ボブカットねぇ…俺の好みではないな」
「ツインテール好きだもんな」
「ここで言うなここで」
ガラリと教室の扉を開けるとほぼ同時に、予鈴がなる。
「はよ〜つるちゃん。…お?いいんちょー?なになに、仲良くなったん?」
「うっせーよハル。…まーな、こう、偶然の産物的な」
ハルと呼ばれた男子生徒は「ふ〜、つるちゃんも隅に置けないね〜!」とはやしたてる。
そういえば、委員長の好きな人って、誰なんだろう。
聞き損ねたことを思い出したのは、SHRが終わり、一時間目が始まりそうになった頃。
今から聞くのも不躾だ、昼休みに拉致すりゃいいか。
❀❀❀
「委員長、屋上で食おうぜ」
弁当を持った手をゆらゆらさせ、一人飯しようとしてる早川を屋上に誘う。
早川はよほど嬉しかったのか、「え、あっ、い、行く!」と元気よく返事して勢いよく立ち上がろうとして机に膝をぶつけていた。
「…なー委員長、お前の好きな人教えろよ」
「ん"っ!!?」
ビックリしてご飯を喉に詰まらせたのか、ゴホゴホとむせて水を煽る。
「な、なんだ急に…」
「俺は教えたろ」
「それは鶴見が勝手に…」
煮え切らない態度で弁当のブロッコリーを突っつく。
「別にいいふらしゃしねーよ。ちょっと気になるだけ」
はぁ、と小さくため息をつくと
「……俺の好きな人の…ヒントだけでいいか?」
と困った顔で笑った。
「おう、何組とかどんな人とかそんなんでいーわ」
緊張した面持ちで、早川が言葉を紡ぐ。
「……俺の好きな人には…好きな人がいるんだ。」
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