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蜜月 4
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────「明日には楽しいことが待ってるよ」
それは、俺に向けられた言葉だと思っていた。
いや、俺に向けられた言葉には違いなかったが、『俺だけ』じゃなかった。
「……………」
……頭が重い…。……何で俺、寝てるの?……朝……?
「─────!」
朝…じゃない……青くない……俺の部屋じゃない!
ここ、どこ!?
「………ぅ……、…──っ!」
何、この服……この髪……
半身を起こすと、目に入ってきたのはアリスみたいなドレスと、ゆるふわの長い栗色の髪。
髪を辿っていくと、俺の頭から生えていた。
どうしてこんなところにいるの?
いつの間に着せ替えられたの?
…だって……俺、……そうだよ…お兄ちゃんの部屋にいた…はずなのに……。
全く知らない、誰もいない家に、女の子の服と長い髪。
物音一つしない家は怖い。けど、知らない人がいたらもっと怖い。
誰かがどこからか見てるの?
息を潜めて、それらしき物がないか目で探す。カメラが設置されてる様子はないが、不安は拭いきれない。もう、喉がカラカラだ。
さっきから鼻にツンとくる臭いもしてる。物を燃やしたような焦げ臭いニオイ。
どこかが火事にでもなっているのだろうか? それとも、この家が燃えてる?
逃げないと───。
「………ぁ…!」
慌てて身体を起こすと、視界が揺れた。支えようとしたら、手でドレスの裾を踏みつけてしまい、つんのめった身体は派手な音をたててソファから転げ落ちた。
「………ぃ…った………」
ローテーブルに身体をぶつけ、その反動で上に乗っていたガラス細工の置物がガチャガチャと倒れた。その音に気づいたのか、隣の部屋がバタバタと慌ただしくなる。
あぁ、人がいるんだ……と、安堵と不安、驚きと恐怖が一気に押し寄せた。
……逃げなきゃ……
「こうちゃん!」
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