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SideStory 全身組の物語。
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「で、何だったん結局喧嘩の原因」
多分キヨくんが俺を誘った理由がそれだ。
フジくんから相談された。ヒラが俺を避けてるーって。
「あっ、知ってたのか」
にや、と笑ってビールを飲み干す。
・・・・・・ペース早ない?大丈夫かな?
ここに着いたのは十分前で、キヨくんは既に
ビールのうつわを二個あけている。
「お互いが馬鹿だったって話だよ」
キヨくんはそう言って話し始めた。
「ふぅん、そりゃ誤解されるわ」
「それを確認しなかったヒラも馬鹿だよ」
「フジくんは迂闊だったしな」
「ヒラは自己完結し過ぎなんだよ、バカップル」
うだうだうだうだ、俺以外のことを話すキヨくんに、
少しいらつく。
何だかんだキヨくんは周りをよく見ている。
────目の前におる俺の事は分かってない癖に。
キヨくんにはちゃんと俺を見てほしい。
俺以外の人と仲良くするキヨくんを見るといらいらする。
人はそれを嫉妬という。
そんな独占欲強くないと思ったんやけど。
俺は心の中でそう吐き捨てて、日本酒をちびり、とのむ。
ただの友達であり仲間であるキヨくんが他人と仲良くする事に
対して、こんなに嫉妬するなんてな。
俺がもうとっくにキヨくんの事が好きな事を、
この時の俺はまだ、気付かない。
────────────────────────────
────────────綺麗。
憂いに染めたレトさんの横顔を見て思う。
あぁ俺はこんなにもレトさんが好きなんだな。
正直、フジとヒラの喧嘩をみていて俺はいらついた。
想いひとつ伝えられない自分を棚に上げて、
明らかに相思相愛なお前らがなんで喧嘩なんかするんだ、
なんて。
この波にのせてもらって告白とかできねぇかなぁ。
この期に及んで、と思い、本日四杯目のビールを飲み干した。
────────────────────────────
流石にこのペースはやばい。
お酒には強いけど、このペースで行くと帰れんくなる。
勿論帰れんくなるくらい飲んでるのはキヨくんのほうやけど。
「ほらキヨくん、帰るで」
「ん〜・・・・・・」
キヨくんは少し考えて、目の前にあったビールを飲み干す。
今日はもう十杯くらいのんでんやない?
流石に酔わんかな、とキヨくんの顔を盗み見る。
「ん、どしたレトさん」
「!!」
見ている事をキヨくんに見られてるとは思わんかった。
「なんでも」
さり気なく目を逸らしつつ言う。
なんかキヨくんからLINEが来てからの俺は変だ。
何だか恋する乙女みたいで、相手がキヨくんになってる。
なんで俺がキヨくんに恋するねん。
人気で格好良いキヨくんと俺なんか月と鼈やん。
だからこんな感情なんて、知らない。
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