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どうすれば、大和くんの気を引けるのか。
どうすれば、大和くんが俺の顔を見てくれるのか。
どうすれば、ありがとう、以外の言葉を大和くんは俺に言ってくれるのか。
はっきりいって、わからない。
わからないからこそ、当時の俺はプレゼント攻撃し続けるしかない、と思っていた。
だって、プレゼント渡す時だけが大和くんと喋られる唯一の接点なのだから。
「あら、大和くん!今日はリュックを背負っているのね!」
母親はさすが母親だ。子供の扱いに慣れている。
「……お父さんにかってもらった」
大河さんに抱っこしてもらっている大和くんが、大河さんの首元から顔を上げて言う。
「あら!良かったわね!!じゃあそのリュックは大和くんの宝物ね?」
母親の言葉に大和くんは照れたように、二回頷く。
母親が大和くんの頭を撫でる。
どこか大和くんも嬉しそうだ。
この時ほど、母親になりたい!母親に生まれ変わりたい!!と思ったことはないだろう。
そして今日も198円のハンバーグ弁当を一つ買って、大河さんと大和くんは向かいのアパートに帰っていく。
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