アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
雨の日❹八雲side
-
熱を出して真紘の家で寝てたんだっけか。
ぼんやりした頭が徐々に覚醒していく。
白い天井を見つめいま何時だろうと考える。
額に手を当てれば冷えピタが貼られているようだ。
どこまでも優しい奴。
俺なんかに捕まっちゃって可哀想に。
横を見てみれば机の上にポカリと蓋の空いた冷えピタの箱がある。
肝心の真紘は机の向こうにあるソファーでうたた寝をしているようだ。
俺の世話なんかしてるから学校サボっちゃってるし。
いつも眉間に皺を寄せている真紘は寝ている時も少しむすっとした顔をしていた。
それを見てふっと笑みがこぼれる。あー、好き。
────────────────────────
本当に真紘は馬鹿でイイヤツだ
初めて話した時は邪魔だと言いつつもさりげなくたすけてくれた。
それから俺がちょっかいを出すと嫌そうにするけど困ってたら渋々助けてくれる。
突き放すなら思いっきり突き放してくれればいいのに。
曖昧だから俺は諦めきれないんだ。
あ〜あ、俺って女々しいやつ。
「キライなら優しくすんな…」
目を手の甲で隠し呟く。
その言葉は虚しく空中を彷徨って静かな雨音に消えていった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 12