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担当編集者が変わりました 7
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「で、俺はなにすればいいの?」
とりあえず部屋を見渡すけど、俺のできそうなことはない。変に手をつけたところで帝に怒られるだけだ。帝は手を止めることなく言う。
「そこに本と原稿あるだろ、いるのといらないの分けろ。」
そこ、と言われて顔をしたに向ける。足元には重ねられた大量の本と、適当に放られた大量の原稿があった。
「全部いる。」
「はぁ?」
「これ絶対捨てちゃダメ。全部必要。」
中も見ずに即答で答えた俺に今まで手を止めなかった帝が手を止めてこっちを見た。
「分別しないとだろ?」
「この本、俺のと尊敬してる人の本だけしかないから。原稿は昔の俺の。あ、あと………、帝が書いてくれたやつ…もあるから。
全部、捨てないで。」
俺は恥ずかしくて帝から顔をそらす。
でも全部必要なんだ。俺が昔書いた小説も、尊敬する人の本だって絶対捨てたくない。
……帝は忘れてるかもしれないけど、5年前に帝が書いてくれた小説だって時々見返したりしてたんだ。
「あっそ。ならいい。」
それだけ言うと、帝は止めた手を動かし出した。
「俺、他に何すればいいの?」
「何もしなくていい。あと一時間もすれば終わる。暇なら出掛けてこい。気分転換になるぞ。」
「……俺家にいたい。」
「……………勝手にしろ。」
帝のその言葉を聞いて、俺はキッチンにいることにした。一時間、仕方ないからさっきあの部屋から持ってきた帝が5年前書いた小説を読もう。
時々つったって1年1回とかレベルで、この間読んでから確実に2年は経ってると思うけど。
原稿を1枚めくると題名だけが書いてある。
久々に見る帝の字はやっぱり綺麗だった。
「『世界征服思想論』…帝らし。」
題名が帝らしすぎて思わず笑ってしまった。
そして俺は次のページをめくった。
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