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積み重ねた罪:西永side
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深夜、誰もが寝静まった頃、俺は人知れずベッドから起き上がる。そのまましばらく視細胞の暗順応を待ち、徐々に暗闇に目を慣らしていく。
そうして辺りがよく見えるようになってから、ひんやりとしたフローリングを踏みしめ、自分の部屋を抜け出した。
いつも目にしているリビングも、真っ暗闇の中では、その様相を変えている。
空間にぱっくりと穴が空いたような、あらゆるものを飲み込んでしまいそうなおぞましさがそこにあった。
あるいは――俺自身の内面が映し出されているのかもしれない。
遠回しに自分を皮肉る思考。少しだけ、前に進もうとする足が鈍る。
だがしかし、大脳の指示には逆らえない。
大脳も、俺という欲望には逆らえない。
折原の部屋に無断で忍び込む。眠りこける折原の代わりに、内開きの扉が、ギギィ、と小さな悲鳴を上げる。息を殺し、音を立てずに、俺はおそるおそる眠り姫へと近づいていく。
眠っている人間ほど無防備なものはない。
折原の寝顔は、俺のすべてを、何もかもを許してくれるのではないかと勘違いしてしまうほど、高尚で、また無垢だった。
暫くの間、何をするでもなく、死神のようにベッドの傍らに立ち尽くす。
あるいは、何も出来ない、と言った方がいいのかもしれない。
俺には、とてもじゃないが、ある種の“覚悟”というものを固く持たなければ、触れることすら躊躇われた。
――折原が、綺麗すぎて。
綺麗なものを守りたいという思いと、綺麗なものを汚したいという思いは、ただ単にベクトルが真逆なだけで、露ほども違いなんてないのだろう。
なぜなら、俺の中では、矛盾にも似たそれらの思いが、絶えず頭の中でぐるぐると渦巻いているのだから――。
半開きの折原の唇に、そっと指を滑らせる。
俺の指が冷たいのか、折原の唇が異様に熱いのか、触れあったところから溶けていくようだった。
少しだけ開かれた口から、熱い吐息が漏れだしている。指先を凪ぐその感覚に、身体の芯が震える。
リアルな感触と分け与えられた熱が消えない内に、今度は自分の唇に、指を押し当てる。
目を閉じる。
脳内では、必死に俺の舌を追いかける折原がいた。
――ああ。
こうして今日も、俺は、お前を汚せないまま。
ままごとのような行為は、自制の代わりを果たしてはいるが、何を変える訳でもない。俺の中のどす黒い欲望が、薄まる訳でも、発散される訳でもない。
親友という虚像は、いつまでその姿を保っていられるのだろうか。
「おりはら、」
いつかお前を、無理矢理暴いてしまう日が来るのかもしれない。
お前を汚してしまう恐怖に怯えながら、俺はその日を、嬉々として待ち望むだろう。
(了)
―――――――――――――
ということで、ムッツリーニ西永の片想い編でした。睡姦する勢いでした。西永がきもちわるくて踏み込めませんでした。
だって……西永が折原くんの脇をひたすらぺろぺろする話とか……私見たくないもの……(吐血)
さて、九郎、佐保、来栖、西永と来ました。まだ番外編を書いていないのは、折原くん、榊(委員長)、高宮、すみれちゃんという比較的濃ゆい人たちであります。
しかし、ネタが、ない(笑顔)
なにかリクエストがありましたら、いつでもいいですので、ぜひぜひ教えてください!
私も思いつき次第、投下していきたいと思います。
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