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「おはよう、折原くん」
「……あ、ああ、おはよう」
翌朝。佐保が珍しく俺や西永よりも先に教室で待ち構えていた。驚きながらも挨拶を返す。天変地異の前触れだろうかと窓の外を見つめるが、雲量は一という文句なしの快晴だった。
何かあるはずだと根気強く証拠を探し続ける刑事さながらに注意深く佐保を見つめれば。
「……なんか今日は妙に元気そうだな?」
「あれ、折原くん分かる?」
昨日のデート、ドタキャンされてさあ。
柔らかそうな毛質の、ただ色素が抜けたような茶髪を指でくるくると弄びながら、佐保はなんてことはなしにそう言った。
「他の相手探すのもめんどくさくてねえ。久しぶりに自分の意志で寝た気がする。いっつも意識失ってそのまま朝だし」
「……ああ、今日は体力が有り余ってるってことな」
「今から使ってもいいんだよ、折原くん」
「遠慮しとく」
「放置プレイでも全然イケるからさあ」
「一人でやってろ」
「視姦されるのが好きなんだってば」
「…………」
佐保と話していると、自分が何語を話しているのか分からなくなる。佐保は鼻歌まじりに俺の常識を凌駕し、笑顔でそれをひっくり返してくるのだ。あれ、俺は今日も正常ですよね? 何故か疑問系になるくらいには自分自身さえ分からなくなっていた。
「まあ、ほどほどにしとけよ」
すべてをうやむやにするため、佐保の髪をぐしゃぐしゃと乱してやる。もともと癖っ毛なのか毛先があちらこちらに跳ねて愉快だった。さらに掻き乱す。子供の頃に夢中になった粘土を思い出す。
抵抗をせず、されるがままの佐保は、ボサボサの髪で一言。
「今の折原くんの顔、この前笑顔で平手打ちしてきたオジサンにちょう似ててうける」
朝っぱらから自尊心をズタズタにされた。
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