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「あーえっと、うん。で、なに?」
どちらの音も掻き消すように俺は口を開いた。
かなり挙動不審な気もするが、さっきの伊藤に比べればマシだ。というか誰でもマシに見える。
思わぬところで使える伊藤…まぁ、いいや。
「ひろくん最近元気ないの。知ってるでしょ?」
その知ってるでしょ、っていうのは、俺が幼馴染だから、知ってるって意味なのか。
それとも俺が原因だから、当然知ってるはずだっていう意味なのか…。
「うん、まぁ。そうだね」
考えた末にどちらの意味だったとしても大丈夫な無難な返事になる。
叶は俺に会いに来てからその可愛いというよりもどちらかというと綺麗よりのその顔で笑みを絶やさない。
それが、俺の気持ちとかなにもかも見透かされてる感じがして、…怖い。
あーもう、なんでこんな状況なんだ。
「ひろくんと高崎くん、最近一緒にいないよね?喧嘩でもしたの?」
また答えにくいことを…
今回俺がひろを避けてるのは、喧嘩でもなんでもなく、俺がひろにどう接したらいいか分からなくなってしまったからだ。
でも、その理由を話すには俺があいつを好きなことを説明しないといけない。
「ごめん、ちょっと俺ら喧嘩っぽくなっててさ。叶さんに心配させちゃったならごめんな」
なるべく叶を安心させるために笑う。
別に俺は叶とひろを別れさせたいわけじゃない。
正直なところ、2人が一緒にいるのを見るのも嫌だし、ひろが叶のことを話したりするのも聞きたくない。
けど、それよりもっと、俺のせいでひろの幸せが崩れるのが嫌だ。
安心したようにふわっと笑う叶に俺も安心する。
かわいい、んだけど、なぁ。
恋は盲目、とはよく言う訳だ。
今、俺は叶に対して全然欲を感じない。
…男としてどうなんだろう…。
「ごめん、ありがとう、高崎くん」
少し涙ぐむ叶の頭をぽんぽんと軽く叩く。
大丈夫、出来る。
遠くからなら、見守れる。
俺は、2人を、応援できる。
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