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甘いデザート
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「んー!おいしい!」
「サク、嬉しそうだね。」
「うん!めちゃくちゃ幸せぇー。」
スイーツ食べ放題に来た。
カップル限定企画だから、周りは男女しかいない。
いや、男同士、女同士も少ないけどいるわ。
ほとんどが男女のカップル。
誰もオレが男だと気付かないところが悲しいが、このスイーツたちのためならプライドなんか捨てられる。
どのスイーツも可愛くて、何よりウマイ。
食べ放題なのに、バイキングみたいになってるわけじゃなく、注文を受けてから作ってくれる。
来るまでに多少時間がかかるが、キョウヤとしゃべってればいいし、問題ない。
「なんか、アンケートあるぜ?」
「うん。やってみる?」
「おー。いいね。」
「『彼氏の好きなところは、どこですか?』」
「キョウヤの好きなところかぁー。んー、どこかなぁー。優しいとこ?」
「『彼氏に直して欲しいクセは?』」
「すぐ甘えて、ベタベタするとこー。」
「『二人の素敵な思い出を教えてください。』」
「なんだろ。なんかあるか?」
「彼女が答えなきゃ。」
「えー、思い付かねぇ。だって、オレらいっつも一緒じゃん。ありすぎてわかんねぇー。」
「『ありすぎてわからない。』と。」
「『彼氏のセクシーだなと思う場所は?』」
「なに、その質問。ウケる。」
「答えてください。」
「えー、うーん。
…唇?」
「唇?」
「お前の唇って、分厚くてぷるんっとして、なんかエロい。」
「キスしたくなっちゃう?」
「なんねぇけど…。」
でも、よくほっぺとか、首筋とか、でこにチューしてくるけど、意外と気持ちいいとか思ったりしているのは、絶対に内緒だ。
「オレもサクの唇、好きだよ。桜色できれい。キスしたいって、いつも思っているよ。」
「うげー!ありえないからな!」
「ふふっ。今はまだしないけど。」
「なんだよ。今はって。」
「今は、他の誰かにサクの可愛いキス顔を見せたくないから、二人きりのときにね。」
「…何言ってんの、お前。」
ニコニコと嬉しそうにしている変態。
「サクがオレの唇が好きだなんて嬉しいな。」
「言うんじゃなかったー。」
「キスしたいなぁ。」
「ダメ。」
二つ目のパフェを頬張りながらキョウヤの話を聞く。
「オレは、サクの瞳が好きって書いたよ。」
「ふーん。」
「まだあるよ。サクの好きなところは、可愛いところと、負けず嫌いなところと、元気いっぱいなところと、表情豊かなところと、運動神経抜群なところと、男気溢れるところと、声も好きだし、ふとした表情や反応もときめくし、あと匂いも好きだな。それに、サクのかもし出す空気も好きだ。オレといつも一緒に居てくれることも嬉しいし、寝起きのサクも好き。バスケしてるときも格好いいし、授業中眠そうなのも可愛くて好き。制服のサクも私服のサクも…パジャマ着てても可愛いなんて、罪だよね。歌が上手なのも好き。お前の歌声って、まさに天使だよね。はぁ…どうしよう。キスしたくなってきた。存在そのものが愛おしい。」
「お、おい…キョウヤ、大丈夫か?」
「え?異常なしだよ?」
「異常アリだろ!アンケートの枠からはみ出てんだろ!」
「サクへの愛をこんな狭いところに書ききれるわけがないだろ。」
「バカだな。んなもん、テキトーに書けよ。」
「まだあるんだけど。」
「もういいって。」
「…随時、本人にお伝えする、ということでよろしいでしょうか?」
「おー、いいぞ。聞いてやる。」
「ありがとうございます。」
「うむ。」
オレの幼なじみ、オレのこと好きすぎるんじゃねぇ?
バカだなぁ、オレたち。
ただカップルのふりしてるだけなのに。
「サク、大好きだよ。」
「うん。オレも、オレも。」
「ありがとう。嬉しいな。」
ニッコリ笑うキョウヤに思わず見惚れてしまった。
「ほっぺたにクリームついてるよ?」
「え?どこ?」
「左側。」
「ここ?」
ベッと舌を伸ばしてみる。
「ははっ。舌じゃ届かないよ。」
「キョウヤ、拭いて。」
目をつぶって催促する。
「うん、いいよ。」
ペロッ。
今の絶対、紙ナプキンじゃなかった!
「キョウヤ?」
「ごちそうさま。」
「今、舐めただろ?」
「拭いてって頼まれたから。」
「舐めろとは言ってないし。」
「同じようなものでしょ?」
「全然違うだろ。」
「カップルっぽくていいかなって思って。」
「まぁ、たしかに今はカップルのふりしてるし、いいか…。」
「次は唇にクリームつけっぱなしにしてね?」
「しねぇよ!」
イチャイチャしまくってる自覚はある。
周りからの視線も痛い。
みんな、店に入ったときから、キョウヤのことを見てる。
女子の視線が痛い!
たしかにキョウヤはカッコいいけど、今は、オレの彼氏だから、あんま見るなよ!
独り占めしたくなっちゃう自分にビックリだ。
ってか、女子ども!
お前らは、ちゃんと彼氏のこと見てやれよ!
彼氏も、彼女がよそ見すんの、注意しろよな!
キョウヤは、オレのだから、あんま見るなっての!
ムカムカして、パフェをガガガと口に突っ込む。
「サク、可愛い。」
スマホを構えて、何枚もオレの写真を撮るキョウヤ。
何が楽しいんだろ。
大口開けてパフェ食ってるだけだぞ?
「美味しい?」
「ん。んまい。」
「そう。良かった。」
ニッコリと微笑む彼氏の甘い空気に胃もたれしそうになる。
こりゃ女だったら、即堕ちるわ。
漢のオレでも、ちょっとキュンときたもん。
「パフェばかり食べて、身体冷えない?」
「らいじょーぶ。」
モグモグしながら答えた。
向かいに座っていたキョウヤが、何故か隣に来た。
「ん?何?パフェ欲しいのか?」
「んーん。違うよ。ちょっとくっつきたくなった。」
ピトッと横に張り付いてきた。
太ももを撫でてきて「やっぱり冷えてる。寒くないの?」と言ってきた。
「寒くないし。太もも撫でるな。」
「足出してるから、身体冷えやすいだろ?ごめんね。」
「大丈夫だし。まだ、パフェ食うし。」
「膝掛け借りてくる。」
気を使いすぎ!
別に平気なのに。
ってか、せっかくの食べ放題なのに、キョウヤは何も食べていない。
コーヒー飲みながら、オレのこと待っていてくれている。
キョウヤは、甘いものがあまり好きじゃないのだ。
オレが好きだからって、付き合ってくれている。
そういうところも、イケメンすぎて困る。
膝掛けをゲットして、オレに優しく掛けてくれた。
随分、尽くしてくれるよなぁ。
オレなんかとのデートに気合い入れすぎぃ。
「ほら、膝掛けかけて。」
キョウヤが掛けてくれた。
随分気の利く彼氏だこと。
「あんがと。」
モグモグ食べていたら、膝掛けの中に手を入れてきた。
「ん?!」
「太もも…冷たくなっているね。寒いんだろ?」
「寒くないし。ってか、サワサワすんな。」
「温めてあげてるだけだよ?感じてるの?」
「感じてないし!」
「じゃあ、このまま温め続けてあげる。サクの太ももの手触り、気持ちいい…。ツルツルしていて、いつまでも撫でていたくなるよ。ぷにぷにして柔らかいのも最高。」
優しく撫でてくる。
変なとこを触ってる訳じゃないのに、何かムズムズする。
ヤベェ、ちんこ勃った。
「モジモジしてどうしたの?」
「何でもない…。」
太もも撫でられただけで勃起するとか、オレ、どんだけ欲求不満なの!
「気持ちいいこと、シてあげようか?」
したい。
して欲しい。
いや、ダメだろ。
ここ、お洒落なカフェだぜ?
カップル限定スイーツも食べてないし。
「いらない。気持ちいいことなんか、シない!」
キョウヤの誘惑に負けず、目の前のパフェを完食する。
「オリジナルケーキも食う。」
「店員さんに頼んできてあげる。」
オレの頭を撫で撫でしてから、立ち上がるキョウヤ。
呼び出しボタンが無いのが不便だが、イケメン彼氏から少し離れられるから、落ち着く。
あんなに甘ったるい空気でベタベタされたら、どう反応したらいいのか分かんなくなっちまう。
笑顔でこちらに戻ってくる。
「オリジナルケーキ、持ってきてくれるって。」
「ありがと。」
また、当たり前のように隣に座ってきた。
向かい合って座ればいいのに。
隣だと、密着するから、恥ずかしいんだけど。
「サク、パフェ美味しかった?」
「んまかった。」
二つ目をキレーに完食したオレ。
「可愛い。」
パシャリとスマホで撮影された。
「サク…、可愛い。」
「撮りすぎぃ…。」
パシャパシャ写真撮ってる。
「大好きだよ。サク。」
油断してたら、ほっぺにチュッてキスされた。
甘いデザートより、甘ったるい空気出してくるから、なんか文句もいえなかった。
「あんがと。」
「ん?ほっぺにチューがありがとうなの?」
「は?違うし。好きって言ってくれたから。」
「サクも言って欲しいな。」
「普通にダチとして好きだぜ?キョウヤのこと。」
「友達としてでも好きでいてくれて嬉しい。」
手を握られた。
じっと見つめてきた。
ニコッと微笑んできた。
…な、何?!
「手、冷たいね。寒くない?」
「大丈夫…です。」
隣に座って、手握って密着して、なんか恥ずかしすぎて、ヤバい。
「キョウヤ!隣じゃなくて、向かいに座れ!」
「どうして?」
「食いづらい!もうすぐオリジナルケーキ来るし!」
「ケーキが来るまでならいい?」
「まぁ、それなら別にいいけど。」
「…もう少しこのままでいたいな。」
手を握って見つめ合った状態をまだ続けろと?!
何、コレ?!
拷問?!
羞恥プレー?!
周りの視線も痛い!
興奮した女子たちにその席変われ!と言われている気がする!
キョウヤは、周囲の視線なんか気にせず、オレのことだけを見つめてくる。
今なんて頬を撫で撫でしてきてるし。
これは、前戯ですか?!
エロいんですけど、手付きが!
もしかして、これから、オレ、ここで抱かれる?!
オリジナルケーキ、早く来い!
「…ケーキ、来たね。」
残念そうに呟いて、向かいの席に移動してくれた。
店員さんに声をかけられる前にキョウヤは気付いてオレから離れていった。
背中に目付いてるのか?
ケーキは、めちゃくちゃ美味かった。
見た目は可愛いし、中身は豪華だったし、味も最高だった!
「うんまぁー!」
「ふふっ。」
「キョウヤも味見する?甘過ぎないし、イケるんじゃねぇかな?」
「じゃあ、一口だけもらおうかな?」
あーんって口開けて待ってる!
何、この可愛い生き物!
ってか、きれいな歯!
んでもって、エロい舌!
チョコ味のケーキを一口サイズに切って、キョウヤの口の中に入れてやる。
「な?美味いだろ?」
「うん。美味しい。」
「もっと食うか?」
「大丈夫だよ。」
すぐにコーヒー飲んでるし。
甘かったんだな。
「食えって。」
無理矢理口に突っ込もうとする。
「いやいや、サク。もう大丈夫だよ。」
「甘かったんだろー!」
「そんなことないよ。美味しかったってば。」
「じゃあ、もう一口食えよ。次は生クリームの方、食え!」
「大丈夫です!」
「甘いもん苦手なんだろ!」
「そんなことないってば。」
「オレのケーキを食えないと言うのかぁ!」
「分かったよ。いただきます。あーん。」
「うむ。」
一口放り込むとやっぱりすぐにコーヒーを飲んだ。
やっぱり苦手なんじゃん。
「オレに嘘付かなくていいんだぞ?カップルのふりしてるだけだし、甘いもん苦手でも、キョウヤのこと嫌いになんねぇよ?ダチだって辞めないし。嘘付かれる方がヤダ。」
「…甘い。めちゃくちゃ甘いよ。」
「ほう。やはりそうか。嘘はいかんよ。」
「オレは、こっちのコーヒーが好き。」
「正直でよろしい。これからもそうしろよ?」
「うん。分かった。」
「キョウヤは、ジェットコースターと甘いもんが苦手なんだな。」
「サクにあーんしてもらえるなら、苦手なものでも食べられるみたい。それから、甘いもの食べたサクの唇や舌なら美味しくて舐め舐めできるんじゃないかな。」
「…何の話だよ。」
「甘い食べ物は苦手だけど、サクは別腹って話。サクは、甘い匂いするけど、美味しそうだもん。」
「甘い味はしないだろう。」
「甘いよ?」
「…いつ味わったんだ?」
「さっきも耳舐めたでしょ?甘くて美味しかったよ?」
「きもっ!味わうなよ!」
「酷いなぁ。それくらいオレはサクに夢中なんだよ。」
「怖っ!」
「そんなに怖がらないで?サクが言ったんだろ?正直になれって。」
「そこは、隠してくれていいです。」
「乙女心は、難しいな。」
「乙女じゃねぇし。」
「彼女心?」
「…彼女…じゃねぇもん。」
「今は彼女だろ?」
「…今だけな!」
「自分に正直になったらサクに怒られたけど、でも、もう嘘を付かないように気を付けるね。」
「おう。オレが引かない程度の正直さで頼むわ。」
「スイーツ食べてるサクが可愛くて好き。」
「お、おう。どうも。」
「食べちゃいたい。」
「それは、引く。」
「難しいな。そのフォークになって、サクに舐められたい。」
「キモい。」
「たくさん食べるサク、好き。」
「セーフ。」
「やったぁ。おかわりする?」
「んーん。もうごちそうさまする。」
「分かったよ。何が一番美味しかった?」
「オリジナルケーキかな?」
「ふふっ。アンケート完成した。会計のとき、出しておくね。」
チラッとアンケート見たけど、彼女の好きなところ、枠からはみ出た後に、「全て」って書いてあったのを見逃さなかった。
彼氏としての演技に抜かりはない。
すげえな、キョウヤ。
ちょっと病んでる彼氏役になりきってやがる。
彼女役のオレのこと好き過ぎだろ。
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