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ケーキよりも甘く甘えて【tngr】
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※グルッペンサイド
疲れた時には甘いものに限る、とよく昔の人は言ったものだ。
かれこれ半年前だろうか。疲労がピークギリギリまで迫っており、大量のカフェインとたまに食うチョコレートケーキでどうにか意識をつなぎ止めていた。
そんな時、トン氏は言った。
『グルさん、たまには甘えてもええんとちゃう?』
“甘える”という行動自体、俺には無関係なものだと思っていた。
他人に弱味や隙を見せたら、この立場は守れない。
絶対的王者、先陣を突きぬけ皆を導く指揮官。それこそこの国の総統のイメージだ。
『俺の前では総統とかそういうん関係なしに“グルッペン”として過ごしてもらいたいんや。』
「恋人やし」と。トントンは優しく微笑んだ。
少しだけ悩んだし、どうすればええのか正直分からんかった。
試しに抱き着いてみた。雪の匂いがトントンの服からした。
一定のゆっくりとしたリズムで、背中を優しく叩かれ気付いた時には眠っていた。
最近は甘え慣れて、太腿に頭をのせている。これをすると、トン氏の反応がなかなかおもろいからな。
「なあ、トン氏?」
「ん、え?どないしたん?」
「俺がこないな感じで幻滅とかしたりせぇへん?」
万民の思うような姿じゃないが、それでもいいだろうか。
トン氏はあの時と同じ、優しく微笑んだ。
「グルさんの好きなケーキも甘いんやから、ええんちゃう?」
「なんだそれ。」
トン氏の言い様に思わず笑った。
平和はつまらないが、こういう平和も悪くない。と、俺らしくない考えが頭を過ぎった。
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