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毎日は穏やかに過ぎていって、俺もこう太も平凡だけど幸せだと感じる日々を送ってる。
きっかけはこう太を襲ってしまうという最低のものなんだけど、二人の気持ちが一緒だったことに気づいて、前よりも二人でキスしたりイチャついたりして仲良く過ごしているし。
だけど。
ちょっとここに来て色々と問題が生じてきた。
まず、こう太が俺の部屋に入れなくなった。
本人が気づいているのかわからないけど、俺の部屋の前に立つとフリーズしてしまう。
声をかければすぐ反応するんだけど、どんなに促してやっても部屋の中に足を踏み入れない。
それと同じように布団が苦手になってしまった。
あぁ、正しくは床や畳に直接敷いた布団なのかな。ベットに敷いてある布団は平気だから。
そんな状態の布団が目に入ると途端に表情を固くしてしまう。
やっぱり、本人が気づいているのかはわからないけど。
そして最後。多分これが個人的に一番問題かもしれない。
*
「こう太。誕生日おめでとうな」
「うん、ありがとう」
こう太の誕生日当日。
膝の上にこう太を座らせて両手でこう太の頬を包むと、こう太は嬉しそうに微笑んでくれた。
プレゼントのサプライズはちょっと不発だったんだけど、パソコンに詳しい森崎くんに色々設定とかしてもらったら、テンション高くしてずーっといじっていた。
あとは寿司とったり、七瀬くん手作りのケーキ食ったりしてのんびり過ごしてから、こう太を膝の上に呼び寄せていちゃついてた。
「…生まれてきてくれてありがとう」
そう囁くと顔を赤くして俯く。それが可愛くて、ほっぺにチューしようとしたら、ここじゃ嫌だと叫ばれて口を押さえつけられた。
リビングにパティの写真を置いてから、毎朝俺達は祈りを捧げている。そのせいでこう太はリビングでキスすることに抵抗があるのか、軽く頬にキスするだけで烈火の如く怒る。
そのくせ抱きしめたり、頭撫でたり抱っこするのは良いんだから、この子の基準がわからない。
「じゃ、ここじゃなかったら良いのか?」
そう意地悪に聞いてみると、ますます顔を赤くしてしまう。だけど、小さく可愛い声で「いいよ」と言ってくれた。
もうそれがツボに入って、俺はデレデレしながらこう太を抱っこすると立ち上がった。
キスだけじゃ終わらないことは俺もこう太もわかっていた。
こう太をベットの上に下ろすと、こう太は緊張した面持ちで俺を不安そうに見つめていた。
怖がらせないように笑顔を返してやると、軽く唇を重ねた。
そのうち調子にのってきて舌を差し込むとなんとなくケーキの味がして、甘くてうまくて夢中で貪っていた。
唇を離してこう太の表情を見つめると、潤んだ瞳でうっとりとしていた。
その表情が色っぽくて自分の息子なのにゾクゾクする。
もっかいキスして、そのままこう太をゆっくりとベットに押し倒した。
途端、こう太がビクッと震えた。
驚いて離れると、こう太の顔が真っ青のまま固まっていた。
俺を見上げる瞳はかつて見たような恐怖の色に染まっていて、俺の脳裏にボロボロ泣いているこう太が浮かんでくる。
それを思い出していたのが顔に出ていたんだろう、こう太がおずおずと俺の服の裾を握ってきた。
ぎこちないながらも笑顔を浮かべてくれるんだけど、それが痛々しくて俺は体を起こした。
「…今日はやめとくか」
「な、なんで?」
「あー…やっぱ、まだちょっと早いかな、と思って」
「ボクなら、だ、大丈夫だよ?」
こう太も起き上がると俺の服の裾を引っ張った。俺が離れていったことに焦っているみたいで、必死な感じなんだけど声が震えていた。
安心してもらえるように頭を撫でてやるんだけど、こう太の不安な表情は変わらない。
たぶん、自分が怖がったことが俺を怒らせたと思っているみたいだ。
「お、怒ったの?ボクのこと、嫌いになった?」
「違う、って。好きだからもっといちゃつきたいんじゃんか。な?」
そう言ってまたキスしてやっても、こう太の不安は晴れなくて、とうとう泣き出してしまった。
「ボクはお父さんが好きなんだ…信じて…」
俺の首に抱きついて泣きじゃくるこう太の背中をさすってやる。
そんなこと、疑ってすらいないのに。
「信じてるって。俺もこう太が大好きだよ」
このままだと最悪な誕生日になってしまうので、俺は自分の中の語彙を駆使してこう太の機嫌を治す。「世界中の誰よりもこう太を愛しているよ」なんて、正直言うのが恥ずかしいセリフをバンバカ言う。それはこう太が俺の胸の中で眠ってしまうまで続いた。
*
「そりゃ、いきなりお父さんに襲われて怖かったよ。心の準備なんてしていなかったし。は…初めてあんなことしたし。それでね、起きてからしばらくはどんなに頑張ってもお母さんに勝てないってショックで落ち込んでいたんだ。ボクのこと見てくれないって、拗ねていたし。…だけど、お父さんのこと嫌いになってないよ?今は怖いなんて全然思っていないからね」
こう太がそう言ってくれたのは、嘘とか遠慮とか一切ない本心からだと思う。
言動や行動から俺のことを好いてくれているのがわかるから、怖くないというのは強がりでもなんでもなくて本当のことだと俺も疑っていないんだけど。
多分、頭ではそう考えていても、心がついて行けないんだと思う。
俺の部屋に入ってしまえば、部屋の中で乱暴されたことを思い出してしまう。
布団が敷いてあるのを見ると、布団の上で俺に組み敷かれたことを思い出してしまう。
俺に押し倒されると、俺に無理矢理犯されたことを思い出してしまう。
その時の痛みとか苦しみとかと一緒に。
「そりゃ、トラウマになるよなぁ」
自分の蒔いた種なのに俺はため息をついた。
息子の性的トラウマを解消する術なんて俺は誰に聞けばいいんだろう。
医者の華田?…殴られるだけじゃ済まなくなる。
こう太自身今ひとつ気づいていない部分もある。
だけど俺に押し倒されてビクついて以来、ちょっと落ち込んでしまった。
気にするなって慰めるんだけど「ごめんね」と謝られてしまう。それが、ちょっと辛い。
正直、毎日だってこう太のことを抱きたいと考えている。
あの細い腰掴んで奥まで揺さぶりたい。気持ちイイって鳴かせたい。
だけど、自分の欲望のまま突き進んだらまたあの夜の二の舞になってしまう。
「ままならんなぁ」と思いながらも、「ストイックなのもカッコいいかな」とか考えてしまう俺がいて。
最終的には「もっとこう太を大事にしよう」ということで落ち着いた。
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