アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
いつもと違う朝
-
sideケンジ
翌朝、最寄駅の改札を通ろうとすると突然呼び止められる。振り返ると、そこにいたのは沖野だった。
「おはよう、澤田。雷大丈夫だったか?」
「お、おおう。当たり前だろっ!」
ざけんな、と言いかけてギリギリ飲み込む。声をかけたのがタクヤなら、間違いなくざけんなと言っていただろう……絶対ニヤニヤしていじる気満々で言ってくるから。でも沖野は違う。いつもと同じ真顔で聞いてくれた。そのタクヤとの違いを意識して、今タクヤがいないことに気付いて、初めて沖野と2人きりでいるという状況を感じて、しかも普通に心配してくれてるのが分かって、謎に緊張し出す。
「これ、ありがと」
気まずさに耐え切れず沖野にブレザーとミュージックプレーヤーを押しつけるようにして返してしまった。あのあと、ブレザーはまお姉さんによってクリーニングに出したかのようなピッシリ加減にされている。
「ん、わざわざ綺麗にしてもらっちゃって悪いね、ありがとう」
というと早速沖野は着た。ブレザーを羽織る動作を思わずじぃっと見つめてしまう。
「どうかした?」
「や、なんでもねえ」
そう、なんでもねえんだよこんなこと。妙に落ち着けない心臓に対して心の中で悪態をついた。
これ以上近付いてはいけない。
僕は警戒心を高めつつ、結局2人で教室まで行った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 17