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発売日、早朝
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4月25日、土曜日。
今日から僕らの本番が始まる。
売り上げに部の合宿が大きく左右されるのだから。
絶対に8万以上は売り上げたいところ。
お台場のダイバーシティ東京前。
僕らのブースは、トレードマークであるガンダムの真正面に配置された。
一番最初に到着したのは、僕とレン。
朝、レンは寝坊しかけた僕を起こしてくれた。
朝の6時に受付を済ませて、準備を始める。
注文通り印刷所から、大きなポスターと共に冊子が到着していた。
「ホント寒いね〜」
ただ今の気温15度。
日中は20度まで上がるそうだが、四月の早朝は肌に痛い寒さ。
僕は、一応学校の活動なので制服で来たけれど、上着の中に厚めのカーディガンを羽織って来た。
僕がポケットに手を突っ込んで猫背にしていると、レンはそれを見て言葉を掛けてくれた。
「カイロいる?」
「欲しい」
レンはポケットから使い捨てカイロを取り出して、僕に差し出した。
そっと触れた彼の手は、僕のと違って暖かかった。
「ハル、手かなり冷えてるね」
ポケットから取り出した手は微かに震えている。
「レンの手で暖めて〜」
冗談半分でそういうと、レンはぷっと笑って僕の手を両手で握ってくれた。
顔色を変えないレン。
口元が緩む僕。
心臓が耳にあるのではないかと錯覚してしまうほど、バクバクと音が響いていた。
レンに、気づかれないように。
僕は違うことを考えることにした。
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