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ナナ
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ふと、草の茂みに千夏の傘と思われるものが
落ちていた
車に何度も踏まれたのか傘の骨はグニャグニャに曲がっていた
千夏……?
「千夏ー!!」
近くにいる!絶対!
そう思って、声を張る
「千夏ーー!!」
何度叫んでも辺りはシーンとしている
そんな…
「チカー!!」
俺らの合言葉。
俺らの大切なもう1つの名前。
「チカーーー!!」
声が枯れそうなくらい必死に何度も呼びかける
「佐藤?」
「先生!」
その時、数人の先生が団体となって学校側からやって来る
「先生!千夏の傘!ここにあった!この近くにいる!」
先生に縋り付く勢いで傘を見せる
そこからその周辺を先生と協力して探すことになった
「川淵先生!」
その時、1人の先生が口に手を当てながら声をあげる
どうやらガードレールの下を覗いているようだ
「千夏いたの?!」
「ダメだ!!」
俺が下を覗こうとすると、別の先生が俺を羽交い締めにする
「佐藤。学校に戻れ」
「は?!何言ってんだよ!千夏いるんだろ?!」
「いいから戻れ!」
「いやだ!!」
先生を睨むと、先生の目には涙が潤んでいた
……は?
何だよ、その顔。
千夏いたんだろ?
この下にいるんだろ?
何でそんな顔してんだよ…
「離せ!」
俺は信じない
「離せって!」
絶対に信じない
「離…せっ!」
俺の頬を涙が伝う
千夏…お前、俺が好きなんだろ?
返事する前にいなくなるとかふざけんじゃねぇよ…
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