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辺り一面に畑や白樺の木が生い茂り、風からは牧場のにおいが漂う場所にある『緑ヶ原高等学校』
この学校には幽霊が出る図書室があるという…──
入学して1週間、桜の代わりに雪が木に咲きそれを横目に1年4組には3人の生徒が席に座っている。
「なぁ、知ってるか」
そう言ったのは暇そうに毛先を弄りながら口を開く、赤井 紅輔(あかい こうすけ)。
こんな見てくれをしてるのに学年上位に入るくらい頭がいい。
「………」
興味がある素振りもせずただ本を捲る俺、白崎 雪(しろさき せつ)。
本は読めるが教科書は読めない。教科書を開いたら2秒で机と恋人になれる。
「…んまぃ」
俺の隣は弁当をリスのように頬張っている、水城 空(みずき そら)。
放課後は部活があるからって重箱の弁当を毎日持ってきている。
今日はハンバーグがメインらしい。
元々俺達は知り合いだった訳じゃなく、入学式の日に俺は寝坊し、一応学校まで行ったけど面倒くさくなってサボろうとしたところに学年主任に捕まって初日から指導室に放り込まれた。
その時そこにいたのが紅輔と水城で、これがきっかけで今もつるんでいる。
趣味や性格は合わないが一緒にいると案外居心地のいい奴らなんだよな。
無視されていることに気付いた紅輔は俺の方を見てほっぺたをぷくぅ、と膨らませている。
なんだこいつ、そんな図体したやつがやっても可愛くねぇわ。
わざと目を合わせないように本に集中しているが、視線が煩い。
鬱陶しい…しょうがないから聞いてやっか。
「…なにさ」
本を閉じ、ため息交じりで答えてやると、紅輔はワントーン高めの声で楽しげにこう言った。
「興味出た!? この学校にさ幽霊が出るんだってさ!」
「はぁ?」
興味なんて1ミリも無いわ!なんて思うより何言ってんだこいつ、と思う。そんな反応が表情に出ている筈だが紅輔は気にせず喋り続けた。
「うちの学校って図書室が2つあるじゃん?校舎の方と外の方。その外の方に幽霊が出るって噂があるらしいんよ」
近年、活字離れの若者が増えているということに本が好きな前の校長が悲しみ嘆いたことにより外に作られたらしい第二図書室。
無駄に2階建てで無駄にお洒落、そこには前校長が持ち込んだ本が何千冊と置かれている。
絶版された本や、内容が変わる前の初版。一部、第一図書室には置けないような本もあり、マニアック向けばかりだ。
紅輔が言うにはこの第二図書室に幽霊が出るんだとか…
でもこの噂は最近出来たで3年くらい前から目撃されているそうだ。
聞いた話によると、黒くて手足が長くて背も高い、第二図書室に入ったら最後、大きな手で頭を掴み、バリバリ食べられて生きて帰れないらしい。
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