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act2-2.学校祭②
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「良いって……雑用が……?夏陽はドMなの……」
「ちっげぇよ!!!!学祭が!」
「ああ、そういうこと」
なんて白々しい。わかっててからかってるにきまってる。言っておくが俺は決してドМではない。かわいい彼女の恥じらう姿をからかっていたい側の人間だ。男なら大体そうだろう。
「まあ、ドМは俺のほうだしね」
「えっ!?!?!?!?!?」
(お前お前お前……!葵お前ドМなのか!?)
さらっと言われた衝撃の事実に一瞬どう返せばいいかわからなくなる。茶化して笑ってやるべきか?もっと詳しく聞くべきか?あれこれ考えたが、それが完結する前に俺の口が勝手に動く。
「マジか……」
開いた口がふさがらないという感じの俺を見て葵がくすくすと笑った。
「別に鞭で叩かれたいとかロウソク垂らされたいとか、そういうのではないからね?フフ、はは、面白い顔!」
驚きを隠せない俺の顔が相当面白いらしく、珍しくアハハと声を上げて笑う葵に、俺はぶわっと顔が熱くなるのを感じる。まるで俺が誤解して葵のそういう姿を想像したみたいな会話の流れになってるじゃねえか……!!!
「じゃあどこがドМなんだよ!!」
恥ずかしさと苛立ちに任せて軽く怒鳴ると、葵はどこか寂しそうな顔をした。
「…………もう何年もずっと、振り向いてくれない子を好きでいるんだよねぇ」
びゅう、と強めの風が吹く。葵の細い黒髪がさらさらと川のせせらぎのように風に流れる。俺はなぜかその一本一本を目に焼き付けたがるかのように、ただじっと葵の横顔を眺めていた。
(なんか、急に妙な空気になっちまったな……)
「好きな子がいるなんて知らなかったぞ~!教えてくれよそういうのは!だれだれ?サオリちゃん?ユウカちゃん?あっ!日向子じゃねえだろうな~!?妹はお前なんかにやれな…………」
なんだか落ち着かない空気が気まずくなって、笑顔を作って茶化すようにバンバンと葵の背中を叩きながら早口で喋った。が、葵がこっちを向いて、じっと見つめられて息が詰まる。吸い込まれそうなくらい深い赤紫の瞳が、俺の視線を捕えて離さない。
「……誰だろうね」
熱っぽい視線。これは、気のせいなんかじゃない。わかる。俺は葵を一番よく知ってる自信があるから。これは、まるで、
(好きだって、言われてるみたいな)
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