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第2話
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-第2話-
視界に映る壁や地面や天井が、
俺を中心に颯爽と流れて行く。
足を地面に付ける度に鳴る音と、
その音に合わせた息継ぎの早さが、
俺が今走っていることを証明させる。
目的の扉の前に着いた俺は、
息を休める暇もなくその扉を力任せに開いて見せた。
「糸魚川先輩ッ!!!!!」
「ぉあっと、ビックリした...。
あれ、どうしたの望。」
「何で集会俺見つけられたんすか!?
偶偶っすか!!?」
「んな馬鹿な!
ちゃんと計算通りだよ。」
勝ち誇った様に笑顔を見せる生徒会長は、何故かいつもより憎たらしく見えて仕方無かった。
話によると、
新クラス表で自分のクラスを見る時に、隣に有った2年生用のクラス表を見つけ俺の名前を探し出したらしい。
集会時の学年やクラスの並び順は決められている為直ぐに分かったのだと言う。
「.....何で俺の名前探してんすか..。」
「好きだからに決まってるじゃないか、何を今更。」
男同士だとか本気かどうかとかそこら辺の話は既に済んでいて、
俺は隠す気も無い先輩のこの感情を受け止めきれずにただただ受け流す作業を繰り返していた。
男同士以前に、俺は恋愛をろくにしたことが無く、女子への好意が既に分からなかった。
細くて柔らかくて可愛くて?
知ったことか。人は人だ。
恋愛なんて面倒でしかないじゃないか。何故する必要がある?
それの繰り返しだ。
「そーっすね、今更っすね。....あ、そうそう。これ、先輩にって。」
どんなプリントなのか内容を確認しようともしないまま、クラスメイトの女子に言われた通りにプリントの束を
生徒会長に渡す。
「...。内容見た?」
「俺がそんな面倒なことしませんよ」
「だよねぇ....。まぁ見ろって。」
「?」
束の1枚を渡され目を通すと、
こんなことが先生に認められる筈がないと願って引き攣った顔を上げて生徒会長を見る。
「あはっ、絶対そんな顔すると思った!」
「....いや..、え、これ先生に..」
「校長にOK貰ってるから」
撃沈して魂が抜けそうになった俺が見た内容は、夏休みの生徒会企画。
2泊3日の温泉旅行だった。
林間とか修学旅行ならまだしも、
ただの委員会企画でこんなことが許されるのかと思いたいが、
この高校、無駄に金が有るのだ。
しかも学校全てのイベントの主催者である生徒会には1番金を使える権利があるのだとか。
生徒会は全員で8人と少ない為、
金が有り余るのだろう。
教師側も少しは休めと言いたいのだろうか、何処に泊まるのかの報告と
2泊3日で帰ってくれば何をしても良いとまで言われたのだ。
勿論学校側から出される金額は限られているが、生徒会メンバーが自分に使う各々のお金を家から持参して来る為金額はそれ以上になる。
何処に行くか、何時に夕食か、
何時に風呂か、何時に就寝か、全て自由とはただの旅行ではないか。
そんなことで思考を巡らせていると
生徒会長が笑顔を向けて最後の一撃を放った。
「強制参加ね☆」
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