アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
考えない 甲斐田×千晴【R18】
-
「俺の何が狡いって?」
精一杯粋がってみるが、ライオンに押し倒された草食動物が何か言ってる、とでも言いたげな眼差しを返されただけだった。実際力の差は歴然だし、俺もそれは充分骨に染みて理解してる。つたない抵抗だった。
「そうやってとぼけるところもですよ」
「答えになってねぇし、俺を捕まえて殴った所で憂さ晴らしにならないぞ」
「私が貴方を痛めつけるような人間だと思われているのならば、心外ですね。所詮、千晴様の中の私はその程度の俗物だと仰るのですか」
ここにきて、鉄仮面を貼り付けている男の片眉が不快そうに動いた。硬いベッドの上に縫い付けられた手首に甲斐田の指が食い込んだ。
「貴方は狡い。こんなにも貴方を思い慕っているというのに、気づかないふりばかり。かと思えば気のあるような素振りをされる度に期待して裏切られる私の苦しみが分かりますか。貴方の突き放せない優しさに、私が何度傷ついてきたか分かりますか」
「ふざけんな訳の分からねぇことばっかりさっきから言いやがって!!!さっさと俺から離れろよ!!」
声を荒げて怒鳴った。意味の分からない論点で責められ続け俺の怒りは限界だった。なんて甲斐田なんかに怒られないといけないんだ。なんて自分でも気づかないうちに俺は彼を見下していたのかも知れない。それがこいつにも伝わったのか、滅多に色を変えない甲斐田の口角が、少しだけつり上がった。色味を帯びた笑顔に、全身が震える。
「ご理解頂けないなら、分かって頂けるまで思う存分遊ばせて貰いましょう」
簡易的なベッドの上で身動きがとれず、硬直している俺をあざ笑うかのように足を絡ませてくる。強引に頭の上で手を一纏めに押しつけられ、空いた手がズボンのベルトへと伸びてきた。
「おい、マジで笑えないからやめろ……!何する気だよッ!」
「セックスですよ千晴様」
笑えない答えに青ざめる。かちゃかちゃと鳴る金属音が耳障りだ。淡々と言い放たれた耳慣れない単語に、時間が止まったような気がした。一単語だけなのに、なんだこの破壊力は、どうして目元が熱くなってきているんだろうか、俺は一体、どうなるんだろう。
「な、んでお前とやらなきゃいかないんだッ!ふざけんなァッ!ぶっ殺すぞ!!」
「殺すだなんて、猫の屍体もまともに見たことがない子どもが言うような言葉ではありませんよ」
首に圧迫感が加えられる。呼吸器が軽く締め付けられ、体内を巡る酸素が足りないと苦しさがか細い息としてかき消された。
甲斐田に首を絞められた。いくら一瞬とはいえ、いくら甲斐田にしては力が弱かったとはいえ、手加減をしてくれたとはいえ、酸素不足で喘いだ記憶が脳裏に張り付いて消えない、消えない、怖い!!俺を見下ろして口角をつり上げてるコイツが何を考えてるのかよく分からないのが怖い!
「怯える貴方も大層可愛らしい」
大人しくなった俺の喉を爪先でなぞる。喉仏を軽く押され、生唾が喉を滑り落ちていった。
「大人を弄ぶ悪い子には、お仕置きが必要のようだ。ご覚悟を」
ぬるりと首筋に這い寄ってきたそれが、甲斐田の熱い吐息を零す舌が、ズボンの中に差し込まれた手つきに五感を支配される。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
59 / 60