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ーそのニー
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中学へ通う頃から、親の仲が悪くなっていた
いつまで経っても仕事をしない男にキレたらしい
男は、母親の嫌味を笑いながら聞き流していた
母親はヒステリックにわめき散らし、最後は俺に八つ当たりをする毎日だった
抵抗する気は無い
殴って気が済むならその方がいいと思っていたから
それに部屋の物を壊されると、俺が掃除をしなければいけなくなるしね
でも俺は知っていた
男は母親に内緒で、若い女と付き合っていた事を
でも、それを言ったところで結果は見えてる
また俺が八つ当たりされておしまいなんだ
でも、最近男はふられたらしく家にいる事が多くなった
学校から帰ると、ビールの缶が床に転がっていた
それをうんざりしながら片付けるのが俺の仕事
つまらない学校から帰り、更にうんざりするなんてマジで嫌になる
一度でいいから、朝ごはんが出来ていたり夕食の支度を母親がしている姿が見たかった
夢でも見れないのは、そんな姿を見た事が無いからだろう
休みの日は、俺が学校から帰っても布団の中にいた
外は青空なのに部屋は薄暗い
やりきれない光景だった
友達の家に一度だけ遊びに行った事があった
家に入ると、母親が笑顔でおかえりと言っていた
遊んでいるといい匂いが漂ってきて、幸せな気分になった
おやつを初めて食べたのはこの時が最初で最後だった
ホットケーキはすごく美味しかったけど、何故か自分が堪らなく惨めに思えた
だからそれ以来、友達とは遊んでいない
ゴミ袋に缶を捨てる音は耳障り
俺はジュースも飲めないのにホント、いい身分だよね
溜息をつきながら硬くなった食パンを食べ、宿題をはじめた
部屋が一部屋しかないのは本当に嫌だった
何が嫌かって?
そんなの決まってる
毎晩、俺の隣で獣のように抱き合う姿と声が聞こえるから
どちらかと言えば母親の声しか聞こえないけどね
俺の存在なんて全く無視
俺は毎晩、早く終われと目を閉じて耳を塞いでいた
初めて、その行為を見たのは小学生の時
すごく驚いた
母親がいじめられているのかと思って悲しかった
でも、中学になってその行為の意味を知った
それと同時に、やりきれないものがこみ上げてきた
母親が他人の腕の中で乱れている姿なんか見たくない
子供ならみんなそうだと思う
殴られてもそう
母親に怒りは感じない
だって、母親だから・・・・それ以上でもそれ以下でもない
俺にとってただ一人の母親だから
母親を嫌いになる事は、簡単には出来ない
嫌いだと思っていても、心のどこかで母親を求めているんだと思った
「おい、飯!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
宿題をやっていてもお構いなしだ
自分が空腹になると俺に食事を作らせる
ホント、最低な男
仕方なく、立ち上がり小さな冷蔵庫を開けて玉子を取り出した
食材が少ないからチャーハンでいいかな
ねぎを刻みながら、フライパンを温め玉子を割った
そして・・・・・・・・・・・・・
「何?」
「お前、可愛くなったな」
「は?」
突然、酒臭い息を吹きかけながら抱きしめられて頭の中がパニックを起こしていた
そもそも、俺は男だと言う事は知っているはず
だから女と間違えているとは思えない
酔っていてもそれぐらいわかるはず
「離して!」
「ずっと、お前が成長するのを待っていたんだよ」
「意味がわからない!あんたはママの・・・・」
「ああ、毎晩お前の体を想像しながらやっていたよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「初めてお前を見た時からずっと待っていたんだ・・・・そうじゃなければだれがあんな女と」
「止めろ!」
嫌いなはずなのに、ママを庇う悲しい血の繋がり
俺が握りしめていたほんの小さな幸せの欠片
ゴミや糸くずに混じっていた親子の欠片
「飯は後でいい」
「止めて!離してっ!」
「無駄だ・・・・・やっぱ、想像通りの体だ・・・・これだよ・・・待ち望んでいた宝石だ」
「嫌だっ・・・・離せ・・・・離せーーーーっ!」
「すぐに黙らせてやるよ、ほら・・・・・味わえ」
想像出来ないようなところに無理矢理入り込んできたモノ
鋭い痛みと何が何だかわからないけど悲しい感情
「痛いっーーーー!!もうやめてーー、お願い、抜いて!!」
「これからだろ?ほら!」
「ぎゃーーーっ!!」
・・・・・・どうしてこんな事をするの?
俺、男なのに
どうして?
ママを裏切るの?
いや、もう昔から裏切ってるか
それから男は、毎日俺の体を弄んだ
そして夜中は俺の顔を見ながらママを攻め続けた
にやけた顔と背中に抱きつくママの腕
気が狂いそうだった
もう・・・・・何もかもが嫌になった
でもね・・・・
おかげで俺は体で人を操る術を学んだ
中学を卒業して、そのまま家には帰らず歳を偽ってウリ専で体を売って生活していた
おやじはしつこいけど体力が無いから楽だったしチップもくれたけど匂いが嫌だった
若い奴はケチだし時間一杯体を弄んで疲れるから嫌だったけど、加齢臭が無いだけマシだった
毎日、泊り客と一緒にホテルで過すような毎日
お金はあるけど、アパートは借りれない
俺には戸籍があっても使えない事情があるしね
歳をごまかしていた事がバレたらクビになる
だからやりたい事は全てやった
遊びも旅行も全てね
でもね・・・・・全てやりつくしてしまうと残るのは虚しさだけ
何をやってもつまらない
どこに行っても楽しくない
毎日やりたい事を探すのにも疲れてきた
その頃から、母親が俺に金の打診をしてくるようになった
連絡はたまに取っていたし、俺の遊んでいる場所も知っていた
最初は何かと理由をつけていたけど、最近はその理由も適当になっていた
俺の体で稼いだ金を受け取る母親
1万が3万になり、今では最低でも5万欲しがる
ねぇ・・・どうして嘘だとわかっていてもお金を渡していたと思う?
もしかしたら、ご飯でも一緒に食べない?って言われるのをずっと待っていたんだよ?
なのにあんたは金を受け取るとすぐに背中を向けて歩き出したよね
すごく寂しい事だとは気付いてくれなかったみたいだね
そう
俺は寂しかったんだとこの時知った
紅葉が終わりかけの寂しい季節
俺はひとりぼっちで空を見上げていた
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