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幼き日のウレイ(3)
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それは、雨が降ったり止んだりを繰り返し、ジメジメと不快感が纒わり付く、梅雨の時期のこと。
理人は鍛錬が終わると、逃げるように鉄平の住む神木家によく遊びに来ていた。
2人が出会った神之木家本邸とは規模こそ劣っていたが、そこに使える使用人は、やはり主の人となりが出るのかとてもいい人達ばかりで、頻繁に訪れる理人に嫌な顔一つせず迎え入れてくれる。
勿論、鉄平とその家族も。
その日も、理人は鍛錬が終わってすぐ鉄平の家に遊びに来ていた。
「ねぇ!ぼくの兄ちゃん〝空蝉の唱〟できるようになったんだよ!」
「すごいね。鉄平のお兄さんって、神器なんだっけ?」
「ギター!」
「ぎたー?」
「あ、そっか、リトはギター見たことないんだね。」
「うん、それは楽器なの?」
「そうだよ!じゃあ、兄ちゃんが帰ってきたら見せてもらおう!」
「うん。」
それからしばらくして、鉄平の兄が帰宅し、ギターを見せてもらうことになった。
「理人様、こちらがギターです。」
「へぇ。」
初めて見た楽器に驚き、質問をすると楽しそうに答えてくれる鉄平の兄。
覚えたばかりの〝空蝉の唱〟を見せて欲しいとねだった鉄平に、彼は柔らかく微笑んでそれを弾き始めた時、それは起こった。
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