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たぶん気付いていないだろうかなくんにはそのまま教えないでおきたいくらいだ。
おそらくシステムの来客予定が消去されていたのは受付嬢への‥たぶんかなくんへの嫌がらせだ。
青森次長も同じ見解だって言ってた。かなくんにはまだ言わなくて良いって‥
来客管理は俺たちの仕事の中で一番大切な業務だ。そのシステムをイジるなんて‥くそっ‥腹がたつ。
きっと石川部長が話していたかなくんを非難していた女性社員なんじゃないかな‥でもいくら岡田次長と付き合ってる人が嫌いでもこんなことするのかな。
考えがまとまらないまま、俺はある店へ向かっていた。
「いらっしゃいませ。」
店に入ると感じの良い女将さんが出てきて、ここが良い店だとすぐに分かる。
「あの、白鳥‥で予約されてると思うんですけど。」
「白鳥様のお連れ様でいらっしゃいますね。どうぞこちらへご案内いたします。」
女将さんは優しく微笑むと俺を奥の個室に案内してくれた。
おずおずとお座敷に座って部屋を見る。
「うわ‥‥こんな個室じゃなくていいのに。しかもすごい高そうな店‥。」
「個室なのはゆっくり話せると思ったからなだけ。心配しなくてもご馳走するよ。」
背後から急に話しかけられビクッと身体が跳ねる。
「映司さん!お疲れ様です。お先に付いてました。食事はご一緒するって返事しましたけどすごい店予約しましたね‥居酒屋で良いのに‥。」
「悪いけど俺、タバコの匂いが苦手でさ。会社の付き合いとかでどうしてもじゃないと居酒屋無理なんだ。この店は禁煙だし、料理もうまいからさ。」
「そうなんですね。僕もタバコ苦手なので助かります。でも食事は割り勘にしましょう。」
運ばれてきた水炊きを食べながら最近の出来事を話す。
「映司さん、いちお他社の人だから本当は話しちゃだめなのかもなんですけど‥
かなくんへ嫌がらせされてる気がするんです。これで済めば良いけど済まない気もして不安になる。」
「そうだな。でも青森さんも調べてくれてて岡田さんもご存知なんだろ?なら大丈夫だと思うよ。美波くんのこと、守ってくれるだろ。」
「うん‥。そうだと思うし、俺、かなくんは守りたくて。あ、でももう空手は使わないよ。あれはまずいことしたと思ってます。」
「ははっ。気をつけなよ。会社クビになったら困るだろ?」
「でもマジでかなくんが心配‥。」
テーブルに突っ伏すようにして顔を隠す。
映司さんがそっと頭に手を置く。不思議なことに今はそんなに嫌じゃなかった。
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