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手を握られた。
怪我をした方の手。
「いっ…」
多分、いや、絶対わざとだと思った。
そういう人だから。
だんだんと彼のことが分かってくるのが嬉しかった。
歩く度にジンジンとする手のあつさは怪我のせいなのに、まるで廣川くんの体温がすべてここから流れ込んでいるような気がした
…だから、こっちの手を握ったんだ。
ここが学校で、まだ生徒もぽつぽつといるのに躊躇いなく手を握るところが、彼らしいと思う
でも、それに抵抗しない僕も、僕らしいと思う。
外は、少し曇っていて薄暗い。
たまにちいさな雨粒も落ちてくる。
学校から駅までの10分くらいでその雨粒たちは次第に大きくなって、電車に乗った頃には傘が活躍するには十分な雨量になった。
傘、持って来てない。
廣川くんも持って来ていないようだけど、多分、持っていても差したりしない。
電車から5分も歩けば、僕達はびしょ濡れになった。
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