アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
創消世界 2
-
少年は両親に捨てられた。
ある朝起きると、両親がいなくなっていたのだ。
少年は自分が消してしまったのかと思ったが、机には「ごめんなさい」という置き手紙があったので、少年が消したのではなかった。
少年は、幸運に思った。
両親は消える前に、自分の前から姿を消してくれたからだ。
人に干渉しなくなったとはいっても、家族のことは大切に思っていたのである。
小さなデパート。
少年はパンと牛乳だけを買った。
家からデパートまでの道のりには色々な店があり、駄菓子屋、服屋、家電屋、釣具屋、万事屋、パチンコ店や風俗店も多くある。
その中でも一際目を引くのが花屋であった。
色とりどりの花がショーウィンドウに並べられていて外からでも華やかに目に映る。『Fioregalo』という看板のペイントも、色鮮やかで呑み込まれそうになる。
花の香りがふんわりと少年を包んだ。
少しだけ。
そう思って、ショーウィンドウを眺めていた。
今までも何度も通っていたが、こうして花を間近で見たことはなかった。
花の集まりを遠くから見ると絵のように象られて見えるが、近くで見ると…1輪1輪の生命が凛とそびえ立っている。
僕ら人間は、DISAPPには綺麗に見えているのだろうか。
…そんなわけないだろう。
奴らは、僕たちを駒としか思っていないんだ。
少年の能力すら、DISAPPがつくり出したものなのだから。
少年は、あまりに美しいのでショーウィンドウのガラスに手を伸ばした。
その瞬間、花屋の中からひとりの男が出てきて言った。
「中にも、たくさんのお花がありますよ」
ハッとして我に帰った。
自分はここで何をしているんだ?
死んで無駄になる人間をアレほど馬鹿らしいと思っていたのに、花などに立ち止まってしまった。
「どうぞ、お入りください」
少年は歓迎された。
歓迎されたことに驚いた。
どこか懐かしさを感じる暖かな優しい声に誘われて、
気付けば少年は、店の中にいた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 6