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「部屋、綺麗ですね」
「…ありがとう」
知らない高校生を部屋に連れ込んだ。なんか、文面だけ見るといやらしいが、男子高校生だということを忘れてはならない。
居間のソファに鞄を放り投げた後、周りを見渡しながら突っ立っている風見くんに向き直る。
「じゃあ、服脱いで」
「……あ、はい」
「………」
少し恥ずかしそうな風見くんは、鞄を床に起き、ネクタイに手をかけシュルッと解いた。それから、ワイシャツのボタンを一つ一つ外し、逞しい身体が露わになっていく。
何も恥ずかしがることなんてないはずなのに、なんだか気まずくて目を逸らした。すると、パサリと音が聞こえて、視界にワイシャツの白が入る。
「じゃあ…お願い、します」
「…うん、終わるまでソファで待ってて。あ、なんか飲む?」
「いや、大丈夫です」
ソファに風見くんが座るのを確認した後、シャツを受け取り、洗面所へ向かう。
…確か、コーヒーはシミ抜きをすればいいんだよな。
……にしても、いい匂いだ。
コーヒーの匂いに混じって、洗剤の匂いなのか、このシャツから落ち着くような香りが漂っている。俺の汗臭いシャツとは大違いだ。どこの洗剤だ?
「あの……」
「おおっ…どうした?」
突然背後から風見くんが現れ、なぜかシャツを後手に隠してしまった。良かった、匂い嗅がなくて。
「……せっかくだし、さっきの話の続き、しませんか?」
さっきの話…とは、カフェで話していた恥ずかしい話か。あれまだ続いてたの?
「…まぁいいけど」
「それと、あなたの名前…良かったら教えてください」
「え? ああ……」
名前…そういや、まだ名乗ってなかったか。
なんか、名前教えたら、繋がりができちゃいそうで…怖いんだよな。でも、ここで断るのも失礼だしな…。
まぁ、こいつ悪い奴じゃなさそうだし、いいか。
「俺は、戸川理一。営業職の23歳」
「……理一、さん」
まさか名前を呼ばれると思わなかったが…まぁ、いいか。
「それで、お前は?」
「あ、僕は……」
「あのさ、そんな気遣わなくてもいいよ。普段は俺って言ってんだろ? なんかこっちまで気遣って疲れちまうからさ」
「っ……そ、そうですね」
あ、ちょっと嬉しそう。
「俺は、風見由紀っていいます。若葉高校の一年で、テニス部で……好きな食べ物は、イチゴアイス、です」
「へぇ、イチゴアイス好きなの? 俺も好き」
「……はい、知ってます」
「え?」
今、知ってるって言った?
聞き返そうとした途端、風見くんは逃げるように背を向ける。
「それじゃ、さっきの話しましょう。居間でいいですか?」
「あ、ああ……」
…もしかして、風見くんは、前にどっかで俺と会ったことがあるのか?
自分の記憶を探りながら、風見くんに続いて居間へ戻る。一つしかないソファに並んで座ると、思ったよりも距離が近くて少し横にずれた。
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