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1日目〜真壁涼矢side〜
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文化祭当日、ウェイターの格好をさせられ、一日中こき使われていた俺は、夕方ようやく接客から解放された。
午前中、約束通り真琴は来てくれた
ただ、忠先輩が邪魔だったけどな、、、
「疲れた、、、」
普段文化祭なんて絶対休むのに、こんなに真面目にやったの初めてだ。
今までの俺だったら考えられないことだけど、最近俺はある人物の真似をしている。
まぁ言わずもがな、それは礼央先輩だけど、、、
正直、真琴がなんで礼央先輩が好きかなんで聞かなくてもわかる。
優しくて、誰とでも仲良くできる、そして誰からも頼られる。
結婚するならこういう人がいいんだろうと思う。
俺とは正反対の性格
別に、そうなりたいわけじゃない
でも、真琴がそれが好きだというならそうなりたい。
「よぉ」
渡り廊下でジュースを飲みながら休憩していたら、座っている俺を見下ろしながらある人物が声をかけて来た。
俺の天敵
「なんですか、、、、、忠先輩」
この人は、なぜか俺と真琴の邪魔をしてくる
「お前に言いたいことがあって」
「なんですか」
いつもヘラヘラしているくせに、妙に真面目な顔をしている。
「真琴のこと好きだろ」
え?
何言ってんだこいつ
「だったらなんですか」
正直動揺しているけれど、それをバレたくない
もともとプライドが高いのもあるけど、こいつに負けたような感じが嫌だった。
「真琴が礼央のこと好きなの知ってるよね」
「知ってますよ」
「じゃあ、礼央が真琴のこと好きなのは知ってる?」
礼央先輩から直接言われたわけじゃないし、確信があるわけじゃなかったけど、俺と真琴が一緒にいる時の態度からしてそうじゃないかと、、、いや、そうだと思ってた
ただ、礼央先輩がこいつに言うなんて意外だったな
「礼央先輩から聞いたんですか」
「いや、でもずっとあの2人を見てると、気づいてないだけで、両思いだってわかるんだよね。どっちも鈍感だからね」
やっぱり直接聞いたわけじゃないのか。
「俺に協力してくださいって言っても無理そうですね」
さっきもやたら邪魔して来てたし、おそらく俺の恋を応援はしてくれてないだろう。
それどころか潰す気満々ってところか
「無理だよ。俺は全力で礼央と真琴を応援するから」
礼央先輩に変わって宣戦布告に来ましたってか。
まぁすでに遠回しにされまくってるけどな。
「で、そんなことわいうためにわざわざ?」
「いや、さっきのは流石に悪かったかなと思って」
さっき?
ああ、俺が真琴を誘ってる時にお前がストップをかけたことか?
そんなこと謝るために俺を探した?
変に義理がたいと言うか、人情があるというか
「だから埋め合わせに、極秘情報を持って来てやった」
「極秘情報?」
「今、プラネタリウムの受付をやってるのは真琴です。
行けば少し話せるかもよ」
プラネタリウム?
ああ真琴のクラスがやってる展示か、、、
今行けば話せるということは、後夜祭にもう一回誘ってみようか。
「と言っても、受付は三人一組、2人きりにはなれないけどね」
なっ!!!
ほんとに良い性格してるなこいつ。
義理堅いと思ったら時間を返せ
そう思いながら背中を向けて去っていく忠先輩を睨んでいると、急に先輩が振り返った。
「片思いって、辛いよな」
と言って笑ってた、、、のか?
泣きそうな笑顔で忠先輩は去っていった。
よくわかんないけど、ひょっとしたらがあるかもしれないし、行くだけいってみようか。
俺は重い腰を上げて、真琴のクラスへと向かった。
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真琴のクラスに行くと、3人いるはずの受付が真琴1人しかいなかった。
そしてその真琴も目を閉じてうたた寝をしている
三人いるつもりで来たから、予期せぬ2人きりに妙に緊張してしまう。
「職務怠慢」
俺がそう呟くと、真琴がびっくりした様子で目を開けた
あぁしまったな。
もっとカッコよく起こせば良かった。
『真壁、何してるの?』
「あんたのクラスの展示見にきた」
まぁほんとはお前に会いに来たんだけど、、、
『ああ、どうぞただ今貸切です』
プラネタリウムで貸切?
それってすげぇいいシチュエーションじゃね?
「なら一緒に見ようぜ、誰も来ないだろ」
俺の言葉に素直に真琴はついてきた
その姿がたまらなく可愛い
『綺麗、、、』
真琴はただうっとり星を見あげていた。
その姿を見ていると、あの時の事を思い出した。
真琴を家まで連れて行って、心は後からでいいと無理矢理抱いてしまった。
きっと俺を好きになるだろうと思っていた。
あんなことせず、まっすぐ気持ちを伝えていれば、この関係は少し変わっていたのか
「なんだよ、人のことじっと見て」
俺の思いとは裏腹に、真琴が俺のことを見つめていた。
『いや、まさか真壁とこんなに仲良くなるなんてと思ってさ』
真琴が俺に近づきながら笑った。
その笑顔が罪悪感と後悔を一層強くさせる。
「まぁ初めは最悪だったけどな」
『確かに(笑)』
真琴と俺は2人で笑ったが、真琴の中ではあの時の事をどう思っているんだろう。
あれ以来、体の関係もキスをしたこともない。
真琴の中では無かったことになっているんだろうか。
真琴がそうしたいならそれで、、、
「あの時のことは忘れていいよ」
『え?』
「あの時俺の部屋であったことも、あの時俺が言ったことも」
力づくでは真琴の心は奪えなかった。
だったら正々堂々勝負するしかない。
無理矢理とか、独りよがりではダメなんだ
まずは真琴にあの時の事を気にさせないようしなければ
「もともとそんな深い意味で言ってないし、その場のノリで言っただけだから」
俺の言葉に真琴の顔が曇った。
あ、ノリでっていうのはまずかったか。
もともとこいつは真面目だから、、、、
「なんだよその顔、怒ったの?」
『怒ってないよ。ただ、、、』
「まぁそりゃ怒るよな。いきなりあんなことしたし」
どう伝えれば伝わるのか、、、
「、、、、、、後悔してるよ、、、、もっと時間かけて伝えればよかったって、、、」
君が好きだと、、、、
「真面目な恋愛したことがないから伝え方がわからなくてさ」
今まで俺のことを好きだと言う子と適当に付き合ってた。
好きになることなんて無かった
『今まで付き合った子達は好きじゃなかったの?』
「うん。でも、向こうだって俺の何が好きかって言ったら外見だけだよ。誰も俺自身なんて見てない」
でも、ただ好きになるのが怖かっただけかもしれない。
『もっとみんなと話しなよ。真壁は、本当は面白くて優しいんだから』
いや、真琴、それは間違いだよ。
俺は真琴にだけ優しい
本当の俺は、自分が傷つかないために人を傷つける最悪な人間だよ。
もうあんな思いはごめんだ。
「俺、あんまり人と仲良くできないんだよ」
『どうして?』
「過去のトラウマ?」
俺は真琴に自分の過去を話した。
俺の親のこと、、、
人を信じられないこと、、、
正直、真琴に引かれるかと思っていたけど、真琴はゆっくり口を開いた。
『でも、僕は真壁と仲良くなって本当はいい奴だってわかった』
俺はは黙ったまま真琴の方を見ていた。
『だから、他のみんなとも仲良くしてみなよ!ひょっとしたらお互いすごく大切って思える相手ができるかもよ』
真琴があまりにも笑顔でそう言うから、胸が苦しくなる。
この人に俺のことをすきになってもらいたい
俺は真琴の頰に片手で触れた。
キスしたい。
今までの俺だったら間違いなくキスしていただろう。
そして相手は俺に惚れる。
それでも、今それをしないのは、見てくれじゃなくて気持ちがしっかり欲しいから、、、
何もせず俺は真琴の頰から手を離した。
真琴はこっちの葛藤なんか知る由もなく、キョトンとした顔で俺を見ている
だめだ。
これ以上一緒にいると何するかわからない。
「後夜祭、花火の時だけでいいから一緒に見よ」
俺はそう言うのがやっとで返事を聞くことなく教室を出た
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