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どう、思ってる?
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カラーン、カラーン、
学校に併設している教会から鐘がなり、
各教室から授業を終える音がする。
俺も他の生徒と同じように、広げたノートを閉じ、
席から立ち上がると、同じクラスの奴4人が
駆け寄ってきた。
「ス、スガワラ!」
「なに?」
「いや…この後俺達、ガーデンテラスで
勉強するんだけど…スガワラも来ないかなって…」
「悪い。この後用事ある。」
それだけ答え、階段教室を立
ち去ろうとすると、グループの1人が
「その用事ってリホーウェン先輩?」
「…そうだけど?」
この後もエリックと明後日に控えた
コンクールの最終チェックがある。
そいつはやっぱり、とでも言うように
周りと目配せをする。
「もしかして、あの人とコンクールに出るの?」
「あ、俺スガワラとリホーウェンが
シェールだって噂聞いたけど」
マジで⁉などと言い
何故か勝手に盛り上がり出した4人
「なぁ、スガワラとリホーウェン先輩って
どんな関係なの?」
どんな…関係?
確かに、
どんな関係だ?
その質問に一瞬固まったが、
時間がないことに気づき
その場を後にした
「別になんだっていいだろ…。
用が済んだんなら行くからな」
階段教室を出て、
生徒で溢れかえっている長い廊下を
歩きながらもんもんと考える。
どんな関係と言われても、
しっくりくる言葉が見当たらない
先輩後輩?
いや、あいつのことを先輩として見たことはない
友達?
そんなくくりじゃない気がする。
兄弟?
何を言ってるんだ俺は
それに…最近のエリックはやたらと
スキンシップが多い。
この前、ショートケーキを作った時だって
あの時のことを思いだし、1人で赤くなる
日本にいるときは余計なことは
考えないようにしていた。
けれど、フランスに来てからずっと、
エリックのことが頭をちらつく
勝手に干渉してきて、勝手に頭の中に
住み着くエリックを掃除機で吸い取ってりたい。
「あいつは…どう思ってるんだ?」
ピタリと廊下の真ん中で足を止める
あと数歩歩いたら実習室だ。
その中に、エリックがいる。
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