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妖しいお兄さん
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月曜日
毎朝届く、うざったいおはようの
メールも何もない、くそ寒い朝。
「シュンおはよう~!
早く大広間行こう~!」
「はよ…。」
ルイの話もまったく入ってこないまま、
朝ごはんを食べるために二人で大広間に向かう。
朝、昼、夕に賑わう大広間は学生食堂だけでなく
大講堂にも使われる、教会を思わせる
フランスらしい、豪勢で美しい建物だった。
それでもこの人の多さには2カ月たった
今でも俺は慣れない。席につき、
無意識に向こうのテーブルを見渡す
「エリック探してるの~?」
「ばっ…!さ、探してねーよ!」
「ふ~ん」口にスプーンを加えたまま
ニヤニヤと俺を見るルイ。俺も、無意識だった。
いつものように一番に俺を見つけて誰と
話していても、何をしていても、
「シュン!おはよう!!」と手を振ってくる
アイツを探していた。
エリックを頭から撤去し、目の前の
ココアを飲む。その間もずっと喋り続けるルイ。
最近は、クラスは違えど、寮も同じという
こともあってか、いつのまにかルイと
行動している。
ルイはいいやつだ。
他のやつみたいにジロジロ見てこないし、
話しかけても赤くなったりしない。
「なぁに、シュン?見とれちゃったぁ?」
ガン見してたのがルイに気づかれ、
ルイがちゃかしたような口調でからかってきた。
「うん。ルイって、いいやつだよな。
って思って…なんだその顔は」
俺がそう言うと急に黙り、
顔を両手で隠して溜め息をつくルイ
「ね~えシュン…それ無自覚?」
「なにが?」
「うわぁ…シュンのデレの破壊力やばいよ…」
「何ブツブツ言ってんだよ」
ルイは俺にニコッと微笑むと、
「ごちそうさまぁ」と言った。
おい、何に対してだよ
「あ、今日昼休み僕用事あるから
お昼食べれないや~!」
「わかった。」
「泣かないでぇ~」
「泣いてねーよ! 」
抱きついてくるルイを引き剥がしすけれど、
また無意識にあいつを探してしまう。
それでも、エリックの姿はどこにもなかった
***
──昼休み
先生から『パティスリ・ワールド・アワード
~フランス大会』
の説明が書かれた封筒を2枚渡される。
エリックにも渡してくれ、ということらしい。
「チッ…」
小さく舌打ちをし、3年のフロアに向かう。
どうせそこら辺で友達と話しているんだろう。
そんな軽い気持ちで探したら、
エリックはどこにも見当たらなかった。
キョロキョロと探していると前に
いた人に気づかず思いっきりぶつかってしまった
「っ…、「ごめんね、大丈夫?」
ぶつかった表紙に、エリックの分の封筒が落ちる。その人は封筒を拾ってくれた。
「悪い…」
「いや、お兄さんも前を見てなかったし…」
顔を上げて初めて見た、その人は
藍色の髪に切れ長の深緑の目を
持った綺麗な人だった。
普段エリックやルイという顔が整いすぎた
二人を見てきたけど、それとは違う…
眼鏡と唇の下のほくろがやけに
妖しさを演出していた。
「…これ、秀才くんの?」
「は?」
封筒をジロジロと見て、クスッと笑ったその人。
秀才くん、と呟いたけれど、秀才くんって…誰だよ
「エリックを探してるの?」
「そう…だけど」
その人は、綺麗にニコリと微笑み、
封筒を俺から遠ざけるように高くあげた。
「ね、お兄さんと少しお話しない?」
昔の俺だったらいますぐ足蹴りしていたはずだけど、腹が立たないのはなぜだろう。
それはきっと…
アイツのせい。
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