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結果から言ってしまえば烏野は梟谷に負けた
それでもこの一週間の合宿の中で一番いい試合だったとみんなが思っていると俺はおもう
反省の後、最後のペナルティへと向かった
俺はバーベキューの準備をするため清水先輩たちと食堂の方へと行こうとする所を田中に止められ、体育館に残っている
ペナルティを終え田中が俺の前に現れた
「なんだよ。くだらない事…な訳ないか」
田中の目は真剣そのものだ
「なぁ田所。俺に超インナースパイク教えてくれ」
「いいけど、春高予選までにって言うなら嫌だ」
俺にインナースパイクの話をするのは多分、結構勇気が必要だったはずだ
「なっ」
それを断られたと思ったのか田中は酷く落ち込んだ顔をしている
「インナースパイクもいいけど、お前の持ち味はキレのあるストレートだと俺は思う。だから今はそれに磨きをかけた方がいい」
笑われるかも知れない
お前に出来ないと言われるかもしれない
そう思いながらも強くなるための選択の一つを田中は勇気を出して打ち明けたんだ
だからこそ、俺はそれを応援したいと思うし、焦って怪我をしてほしくないと思う
「インナースパイクは肘への負担が大きいからな。しばらくは肘を柔らかくするトレーニングだけにするべきだ」
「…田所がそう言うなら」
「不服か?田中」
「まぁな。けど、バレーに関してお前が間違ってると思った事はない」
田中のこう言うストレートな所はこそばゆい
「そうかよ、信じてくれてありがとうな」
俺がそう言うと怪訝な顔を返された
「田所がありがとう…何企んでるんだ! あっ!ゴリゴリくんくらいしかおごれないぞっ」
「お前の中の俺ってどうなってんだよ」
俺の目の端に夕と旭さんが見える
「それより田中、今は夕のトス打てるようになった方が得じゃないか?夕のトスを打てるのが旭さんだけなんて勿体無いだろ」
「…確かに。行って来る!」
「いってらー」
「なぁ綾斗。俺にブロック教えてくれたりしないか?」
田中を見送っていると後ろからスガさんに声をかけられた
「あー。ブロックですか…」
俺と同じくらいの背格好のスガさん、ブロックに付けば大体狙われる
「過去、俺のブロックのノウハウを教えた人物が3人います。1人は怪我で、あとの2人は自分のプレースタイルを見失ってバレーボールを辞めました」
俺のプレースタイルは、どシャットを狙わない割りに多分体への負荷が大きい
だから、割り切れなくなれば負ける
「だから、俺の考える基礎なら教えます。それ以上は勘弁してください」
「サンキュ、綾斗。頼むわ」
屈託なく笑うスガさんに安心し俺も笑った
「はいっ」
そこからしばらくスガさんにブロック論を説明した
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