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03
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気づけばもう放課後だった
俺は手から流れる血を
しばらく眺めていた
痛みなどもう…感じない
痛いのは手じゃない…
心だ…
心の傷は思ってたよりも
大きくて…
しばらく立ち直れそうにない
何もしたくない、誰にも会いたくない
俺は体を引きずりながら
教室へと戻った
教室に戻ると
もうほとんどの生徒がいなくなっていた
残っていたのは数人の生徒
その中に、琉衣と愛斗、そして紘がいた
紘は俺を見るなり
目を見開いている
「どうしたんだよ!その傷!」
「…何でもない」
「そんな訳ないだろ!目も腫れてるし…血流れてるし…!何があったんだよ!」
「…何もない…俺、帰るから」
「ちょっ!おい!歩夢!」
俺は紘の声に振り返る事なく
教室から出ようとした時
ふと愛斗と目が合った
琉衣は俺の方を見ようとしない
「…歩夢、どうしたの…?」
「……どうもしないよ。じゃあな」
「…歩夢!」
愛斗の声を無視し
俺は教室から出た
手の傷はかなり深いのか
血は止まらない
まぁ…そんなの
どうでもいいんだけど…
何もかもどうでもよくなってしまった
もう…どうでも…
心の傷が癒される日は
来るのだろうか
俺は重たい体を引きずりながら
家へと帰った
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