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02
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「…琉衣くん、ちょっといいかな?」
「え?あ、うん」
俺は作り笑いでごまかし
琉衣を教室から連れ出す事に成功した
まーくん…いや、愛斗の視線を感じたが
そんなことに構っている場合ではない
屋上までやってきた俺たちは
フェンスの前で足を止めた
「紘が俺に話があるとか珍しいな。どうたんだよ、急に」
「…これ…見てみ」
そう言って俺が指を指したのは
コンクリートに飛び散っている血
これは歩夢の血だ
痛々しいほどの血飛沫が
コンクリートに飛び散っている
「…これ、血か?」
「そうだよ。歩夢の…血だよ」
「……………え?」
俺のその言葉に
琉衣は目を見開く
やっぱり、気づいてなかったんだな
「…この血はね?歩夢が自分の拳を何度も…何度も…叩きつけた時に流れた血なんだよ」
「…歩夢が…」
「お前のせいだよ、琉衣」
「…っ?!」
俺が低い声でそう言うと
琉衣はさらに大きく目を見開いた
そんな琉衣を
俺は鋭い目つきで睨みつける
「お前が歩夢を傷つけたんだよ。お前が…!歩夢から笑顔を奪ったんだ!!」
「…っ?!」
俺は琉衣の胸ぐらに掴みかかり
フェンスに押しつけた
「何で…!何で分かってやらないんだよ!歩夢の気持ちを…!」
歩夢がどんな気持ちで
今まで生きてきたか…
「ずっと…ずっと好きだったんだぞ!お前の事が…!それなのに…何であんな事言ったんだよ!!」
「…っ!お前…聞いてたのか?」
全部聞いてしまった
琉衣が歩夢に言った言葉は
あまりにもひどすぎる
歩夢の気持ちも知らないで…
よくあんな事が言えたな…
「歩夢がどんな気持ちで嘘つき続けてきたか…お前に分かるか?歩夢がどんな思いで…お前のそばにいたか…」
ずっと…自分の気持ちに嘘をつき続け
自分を偽ってきた歩夢
本当の自分を隠し
心のどこかで泣いていた歩夢
俺にはお見通しだよ…歩夢…
「歩夢は…お前の為を思って…ずっと嘘をつき続けてきたんだ…!本当の気持ちをお前が知ったら…離れて行くんじゃないか…嫌われるんじゃないかって…!」
「っ!」
「歩夢はずっと…ずっと不安だったんだよ!全部…お前を思って…お前のために歩夢は…」
辛い…苦しい…
そんな気持ちを隠し
いつもニコニコ笑い続けてきた
琉衣に嫌われないように…
琉衣が離れて行かないように…
歩夢は…
「何も知らないくせに…何も分かってないくせに…歩夢にあんな事言ってんじゃねぇよ…!!」
「…っ」
「許さない…俺はお前の事…絶対許さねぇからな!!」
「………………」
琉衣は何も言わない
ただ、黙って下を向いているだけ
「…歩夢を傷つける奴は…容赦しない…歩夢の笑顔を返せ…!」
「…っ…ごめん…!」
「…俺は許さないよ。お前の事…」
俺はそう吐き捨て
屋上から出た
するとそこには
泣いている愛斗がいた
「…何で…何であんな事言うんだよ…!琉衣は何も悪くないじゃん…!」
「あんたは何も分かってない。いつもそーやって琉衣は、琉衣はって…」
本当…うざい奴
大嫌いだよ、お前なんか
「あんたはいいよね。好きな人と付き合えて、幸せで。…本当…憎たらしいよ」
「っ?!」
「一生分かんねぇよ、あんたみたいな愚か者にはな」
愛斗にそう吐き捨てた後
俺はその場から去った
教室に戻り、カバンを持ち
俺は教室から飛び出した
急いで靴を履き替え
生徒玄関を出る
俺の足は自然と
歩夢の家へと向かっていた…
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