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知らなくてもいいこと4
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【千秋】
一気に状況が変わる
ねぇ、嘘だよね?
陽人……やめて、お願い…
「好きなんだ、千秋のことが忘れられない…」
切なそうな顔をして、俺を見下ろす陽人
なんでそんな顔すんだよ…
涙が頬に落ちると、俺の胸に顔を埋めた
「はる…と、」
両手を押さえ付けられている状態では呼ぶことしか出来ない
こういう場合、出来れば抱きしめてやるべきなのだろうが…もどかしい
「千秋…俺…」
「陽人、わかったから落ち着いて?逃げないから…これ、離してくんない?」
ハッとして手を離す
覆いかぶさっていた身体をゆっくりと離していくと、ベッドの端に座り直した
それを見て、俺は起き上がりざま、陽人の背中に抱きついた
「ち、千秋?」
「うん、陽人は俺のこと…」
「好き…だ、好き、ごめん…」
絞り出すような声が、苦悩している陽人の気持ちを表している…
俺のこと……好き?
背中から離れ、陽人の正面にしゃがんだ
「どうしたの?なんかあった?」
俺のことを好きなら、伝える方法は他にありそうなものだ
陽人もまた、冬弥同様、苦悩しているように見えた
「夏生となんかあったんだろ?話してよ」
一瞬口を開いたのに、陽人は再び噤んだ
絶対何か隠してる
時間をかけなきゃ…
隣に座り直した俺は、陽人の手を握ったまま話をすることにした
人って、触れると安心するって何かに書いてあったのを思い出したから
「言いたくない?俺はさ、みんなが好きだよ…陽人のことも夏生のことも…もちろん、冬弥だって、陽人は?」
子どもをあやすように、ゆっくりと話をする
すると、少しずつ唇が動いた…
「夏生…を抱いても、何かが足りなくて」
「足りない?」
「満足出来ない…」
「イケないの?」
「…や、達してもなんか埋められない感じすんの…俺、どうしたんだろって…そしたら千秋のこと思い出して、」
それからまた言葉が途切れる
苦しそうに、何かを探すように目をつぶった陽人
「陽人……俺とのこと、思い出した…の?」
返事の代わりに、陽人の顔が近づいた
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