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「―壮馬」
低く、少し掠れた声が壮馬の名を呼ぶ。
熱を孕んだ瞳はギラギラとまるで獣のように鈍く輝いていて、まるで壮馬を逃がさないとばかりに、じっとこちらを見つめてくる。
するりと慎吾は自分の手を壮馬に重ね、指と指を絡めあって握る。もう片方の空いた慎吾の無骨な手が、滑らかな壮馬の白い肌を撫でた。
ペロリ。慎吾の赤く分厚い舌が自身の唇を舐める。軽くはだけた白いシャツから、慎吾の浮いた鎖骨がくっきりと見えている。
サラサラと落ちてくる髪を乱雑にかきあげるも、また瞳に影を落とす。
熱を孕み、欲望を滲ませた色素の薄い瞳、艶めいた唇、分厚くて真っ赤な唇、影を落とす髪、誘惑するように見える白い鎖骨。
「しん、ご…」
慎吾が名を呼ぶ度、脳内が蕩けるような甘い感覚に陥る。
絞り出すような小さな声で親友の名を呼べば、嬉しそうに長い睫毛をした瞳を三日月型に細めた。
「そうま、」
「っ」
「すき」
軽いリップ音をたてて、慎吾の唇が壮馬の頬に触れる。
ピクンッと小さく肩を揺らす壮馬にクスリと小さく笑うと、心底愛しそうに告げる。
「そーま」
また名前を呼んで、今度は反対側の頬に、そして額に、瞼に、鼻先に、慎吾は次々にキスを落としていく。
慎吾に名前を呼ばれるたび、キスをされるたび、壮馬は甘い蜜のようなものを与えられて酔わされるようだった。
「壮馬、俺を見て?」
顎を掬われ、視線を慎吾に無理矢理合わされる。
ペロリと慎吾はまた舌舐めずりをすると、唇を壮馬の唇へとゆっくりと近づけー
「うおあああっ!?」
ー触れる寸前で、壮馬は飛び起きた。呼吸が荒く、心臓はバグバクと五月蝿く、額には汗が滲んでいる。あれが夢だと理解するのに、数秒を要した。
閉められたカーテンを少しだけ開いて、外の様子を見る。まだ日は登っておらず、夜明け前の薄暗い空にポツポツと星が瞬いている。
カーテンから手を離し、それを自分の唇へと持っていき指先でそっと触れ、夢の中の慎吾を思い出す。そして、そこで漸く気づく下半身の違和感。
あぁ、これは、もしかして…。
壮馬は布団の中をそろそろと覗き込むと、違和感の正体に深いため息を吐いた。
※
「うぉー!間に合ったァ!」
「ギリギリセーフ!」
朝のSHRの予鈴が鳴り響くなか、階段を駆け上がってる途中鉢合わせた壮馬と涼は2人仲良く教室へと滑り込んでいた。
他にも、壮馬達のようにギリギリ教室に飛び込んでくる者や、雑談をしていた者、他クラスへと赴いていた者が戻ってきたりと、教室内は一気に騒がしくなる。
教卓に立ち出席簿を開いている教師が、予鈴が鳴り終わると同時に起立の号令をかけた。
「あー疲れた…。朝からすっげぇ疲れた」
「珍しいな壮馬。お前がこんなギリギリなんて」
「あー…電車乗り遅れた」
「寝坊か?」
「まぁ…」
壮馬は重い腰をドッカリと椅子に下ろすと、早々に机に突っ伏した。そんな壮馬に、同じく全力で階段を駆け上がったお陰で疲れきった表情の涼が話しかける。
言葉を濁す壮馬に涼は首を傾げる。だが、教卓に背中を向けた状態で座っているお陰で担任から名指しで注意され涼は肩を竦めた。
「ほら、ちゃんと前向いて座れよ」
「うるせえ」
クスクスと笑いながらそう言う壮馬を睨みつけると、涼は壮馬に背中を向ける。
涼の背中がこちらに向いたのを見て、壮馬は小さなため息を吐いた。
まさか、朝勃ちした自分のアレを抜いてたら電車に乗り遅れたって言えるわけが無い。しかも、その原因が今絶賛お付き合い中の親友となれば。
机の下でこっそりと携帯を開いてトークアプリを起動する。
『間に合った?』
予鈴が鳴る数分前に送られているメッセージ。親指を立てているクマのスタンプを送り、何か返そうかと思考を巡らせるが、結局やめにして電源を切る。
慎吾とお試しで付き合い始めて、あれから数日の月日が経っている。お試しとはいえ、今は自分と慎吾は親友ではなく恋人という関係な為、もっと恋人らしい事をするのかと気構えしていた壮馬だが、慎吾はそういった素振りなどは一切見せず、ごく普通に親友という関係だった時と同じ対応をしている。
前と同じくメッセージのやり取りもする。通話もする。二人で登下校もする。話す内容は大したものではない。くだらない話をしてふざけあって、バカみたいに笑い合って、それぞれ帰宅する。そんな日々。
(なんか…俺だけすごい期待してるみたいじゃん)
想定外の慎吾の様子に、壮馬は何だか自分が恥ずかしくなってきた。未だ自分は、慎吾の事を好きなのか分からない。かといって嫌いでもない。同性で恋人同士になってからも嫌悪など一切感じられない。どこかで慎吾と恋人同士のような事をしてみたいと願う自分がいる。だが、好きか愛してるかと問われれば答えられない。
(わっかんねぇな…)
SHRが終わり、担任は授業の為教室を出ていく。担任が教室を出ていったと同時にロッカールームへ行く者やトイレに行く者、移動教室の為廊下に出る者などで再び校舎内が騒がしくなる。涼にロッカールームへ行こうと誘われ、壮馬は一つ頷くと重い腰を上げた。
※※
皆様初めまして。作者のかなえと申します。
沢山の閲覧やお気に入りをありがとうございます。拙い文章ですが精一杯頑張って完結できるようこれからも頑張ります。
さて、詳細文にも記載しているように、「1日1回更新」が目標だったのですが、連載三日目にして早くも達成することが出来ませんでした。…言い訳としましては、あの、F〇Oというゲームで忙しくてですね…。靴下必死に集めて種火を回収してましてね…。そこにキャンペーンで世界救うと石が貰えると来て大急ぎで世界救いに行きとですね…そしてまた種火周回に追われていまして、セイレムガチャ爆死して落ち着いたので更新し始めた次第です。でも単発でニコラ来たからいいもんね!!!セイレム本命は星5の幼女だもんね!!!泣いてなんかないやい!!!(´;ω;`)
あと某イケメン役者ゲームでも絶賛推しのイベントで走ってたのもあるのですが、次の春組公演に全てを賭けようと早々に切り上げました。石をこれ以上砕くわけにはいかない…!
という訳で、今回からまた1日1回更新を目標に頑張りたいと思います。今後ともよろしくお願いします!
コメントや感想など頂けたらとてもとても嬉しいです!!!(懇願)
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