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逃げる
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街頭の声を聞いていると和輝は少し怖くなった。
世の中にはまだ俳優の自分がいるのだと…。
俳優だった頃の家はファンに知られているため、31日より前にひっそりと引越し、
今は1DKの月5万円のマンションに引っ越した。
そこはファンや報道関係者に知られていないらしく、今の所落ち着いて暮らせそうだと思ったが…。
嗅ぎつけられるのも時間の問題ではないだろうかと思い始めた。
そんなことを想いながら、街頭を歩き、とある一軒のお店に転がり込むようにして入った。
カランカラン
「いらっしゃい。」
顔馴染みのマスターの富山茂がにこっと笑った。
「こんにちは。」
そういうと和輝は眼鏡とマスクを外した。
席に着くとお冷を出してくれた。
「どうですか?」
「どう…とは?」
「まだニュースになってますからね…。」
マスターは心配してくれたらしい。
「まぁ…気分は落ち着かないです。」
「でしょうね、何飲みますか?」
「カシオレ。」
そういうとマスターは酒をつくり始めた。
「そうだ、篠崎さん。」
マスターが酒を出しながら和輝を見た。
「農村にご興味ありませんか?」
「農村?」
「はい、実は私の曽祖父の実家が田舎にありまして…。」
「はぁ…。」
「今、手入れに行ける人間がいないのです。」
マスターは困ったという表情をした。
「そこでその家の様子を篠崎さんに見に行っていただきたいのですが…。」
「え?」
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