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lie【嘘】
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「クソあっちいー!死んじまう…!」
ガラガラという大きな音を立てながら、石ころのように重たいキャリーバッグを携えて、でこぼこした砂利道をやっとのことで一歩一歩進む。
一体全体、なんでこんなに暑いんだよ?
確かに今年は猛暑になるとニュースで報道されていたけど、これは酷すぎる。頭がガンガンと揺れて、それに伴って視界もグラリと揺れる。
大袈裟かもしれないが、本気で地球の終わりを感じる。その前に、こんなに暑かったら地球が溶けてなくなると思う。
滴り落ちる汗が額から瞼に落ちて、視界が霞む。目に汗が染みてチクッとした痛みが少し走ったかと思うと、再び額から汗が流れだす。永遠にこの繰り返しだ。
「あーーーあつい……!死ぬ!」
「少し黙ってて貰える?余計に暑くなるから」
俺の背後に歩いている村本がぽそっと言葉を漏らしたのが分かった。
…は?「余計に暑くなる」だって?うるせえな。口に出さなきゃやってらんない暑さだろ!確かに暑さで言葉を発する自制が効かなくなってることは認めるけどさ。
だけどさ、どうして口に出すのを躊躇わなきゃいけないんだ?
「あと少しで着きますから、頑張りましょう?」
俺の前を歩いている多田が汗一つかいていない、いつも通りの整った顔をこちらに向けながら、俺に話しかける。
―こいつ、本当におかしいじゃないのか?
こんなに暑いのに汗もかかないなんて、冗談抜きで人間ではないんじゃ…?
ここ最近俺の中で「多田樹=人間ではない説」がグングンと現実味を帯びてきている。笑い話にみたいに聞こえるけれど、俺は本気でそう思っている。
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