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君は何者?
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いつもと変わらない風景
いつもと変わらない時間
いつもと変わらない場所
いつもと変わらない教室
そう、いつも同じ
何の変化も無い日常
ただただ退屈
退屈過ぎて何が退屈なのかもわからない
何をやるにも無気力でただ息をしているだけ
俺達は刺激を求める
でもそんな刺激すら退屈と言う言葉に奪われてしまう
そのうち考える事すら忘れてしまうかもね
「楓、行ったぞ!」
「えっ・・・」
もしかして痛いと言う感情すら忘れてしまう時が来るのだろうか?
「おいおい、大丈夫かよ?顔面でボールを受けてどうするんだ」
そうだった
今は体育の授業中でバレーの試合中だった
立ってるだけでいいと言われたのに嘘つき
「ちょ!鼻血出てる」
「ホントだ」
「保健室に行くぞ」
「大丈夫」
「お前は大丈夫でもみんな気にするんだよ」
「わかった」
ボールを顔面で受けた記憶はある
痛みもある
だけどそれは俺にとってどうでもいい事
「マジか~、誰もいないとか」
「適当に寝てるから」
「わかった、俺は先生を捜してくる」
「うん」
「とりあえずこれで拭け」
「わかった」
ティッシュを渡され鼻を押さえた
「はぁ・・・」
保健室のベッドは好きじゃない
すごく衛生的だし白い部屋すぎる
「と言うかいつまで出るんだろう・・・」
鼻血の止め方とかあるのかな?
横になってても止まる気配がない
「喉痛い」
血が流れ込んで来てすごく気持ち悪い
「もしかして出し切れば止まるかも」
起き上がり床にポタポタと落ちる赤い血を見つめていた
「途中までは正解です」
「えっ?」
誰もいないと思ったのに声がした
先生では無さそうだけど・・・じゃ誰?
知らない生徒?
「早く止めたければ冷やすのがいいと思います」
「冷やす」
水で顔を洗えばいいのかな
「ちなみに、顔を洗うは不正解です」
この人すごい
やろうとしていた事がわかるの?
カーテン越しに会話をしながら首をひねった
考えていたら鼻血も止まった
「止まったみたい」
「そうですか」
誰だろう
気になるけど今の俺は血でシャツが不気味だしもし具合が悪くて寝ているのなら邪魔しない方がいいよね
そんな事を考えていると、ドアが開いた
「彩流寺、時間だ」
「はい」
この声は知ってる
英語の先生だと思う
と言う事は英語のテストをここで受けていたの?
もしかしてものすごく人見知りとか?
「誰かいるのか?」
たぶん俺の事
逃げたいけど逃げる理由も無い
「いるかも」
返事をしたと同時にカーテンが開いた
「楓か、どうした?」
「ボールが顔に」
「本当に球技が苦手だな、ギターだけか才能は」
「さあ」
もう少し
もう少しカーテンが開けば声の主がわかるのに
「彩流寺、これで試験は終了だ帰ってもいいぞ」
「はい」
帰るんだ
登校拒否とか?
だけど今はテスト期間じゃない
でも初めて聞く苗字だった
「お前はここにいるのか?」
「どうせ戻っても怪我をするだけだし」
「確かにな、じゃ大人しくしていろよ」
「うん」
「返事ははいだ!」
「イエス」
「ったく・・・まぁいい」
英語担当のくせに熱血すぎて疲れる
学年主任だし気合が入るのもわかるけどね
窓から中庭を見た
あっ、さっきの人かな
見慣れない鞄と制服
あの制服は超有名な・・・名前は忘れた
小さいけど本当に高校生?後ろ姿しか見えない
振り向かないかな
「あっもう少し」
もう少しで顔が見えるはずだった
「眩しっ!」
振り向いたと同時に何かが反射して顔が見えなかった
ぼやける視界でもう一度外を覗いた
「羽・・・じゃない」
人間なんだし羽ではないはず
結局後ろ姿を見ているだけで終わった
「どうでもいいね」
昼寝でもしよう
午後の授業は数学だしこれ以上頭を使うのはよくないと思う
みんなが勉強している時間に昼寝するとか最高かも
顔は少し痛いけど、数学をサボれた事はラッキーだった
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