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和海
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繭が朝から何となく落ち着かない
理由は一つしか無いね
「繭、大丈夫?」
「うん」
「そう、俺には何でも言ってね」
「わかってる」
嘘
繭は俺には心の奥は見せない
そんな気がする
「生徒会は忙しいみたいだね」
「新入生が来る」
「うん、無理しないようにね」
「してない」
「わかった、じゃ行こうか」
「うん」
手を差し出すと、今日の繭の手は冷たかった
そしていつもより力が入っているような気がした
今日はいつもより賑やかだ
新入生が緊張した顔で講堂に集まっていた
そして朝から生徒総会だから繭も大変だね
「頑張って」
「うん」
繭と別れて適当な場所に腰掛けた
「おいおい、楓の座る場所は向こうだろ?」
「翔、気にしないで」
「ったく」
「と言う翔も場所が違うんじゃない?」
「俺は、ステージとか嫌いだしね」
「俺は好きだけど」
「それはライブの時だろ?」
「正解」
「そろそろはじまるぞ」
何だろう、新入生はやはり可愛いな
制服が歩いてるみたいだし
「退屈なのはわかるけど今年の新入生は少し騒がしいな」
「だね」
生徒会役員の話も真面目に聞いている人の方が少ないしね
「おっ、会長様の挨拶だ」
「うん」
繭が出て来た途端、行動無いがざわついた
「繭、大丈夫かな」
「まぁ見てろって」
笑い声とかも聞こえるし、不安しか無いけど
「みなさん、ご入学おめでとうございます」
「小学生の講堂はここじゃないですよー!」
今年の一年は柄が悪いかも
今の一言で、笑い声が一斉に湧いた
「僕は、生徒会会長の彩流寺 繭です」
繭は淡々と挨拶を続けていた
「お立ち台がいりますかー!」
やれやれ・・・
「みなさんに一言言っておきます、ここは普通の学園ではありません・・・僕の一存で退学にする事は容易い」
「・・・・・・・・・・・」
「余り舐めた態度をとるのなら今すぐ退学にしますよ・・・木下巧君」
「え?」
「あと、お立ち台は必要ありません・・・町家薫君」
「なっ!」
名前を全部暗記してる
さすがだね
「では、話を続けます」
もう、おかしな野次は飛ばなかった
そりゃそうだよね、いきなり名前を言われたら誰だって驚く
「ね?大丈夫だろ」
「だね」
そしてお昼になり、繭がやって来た
「お腹空いた」
「うん」
「今日はグラタンとコーンサラダ」
「さすがだね、行こうか」
「うん」
さっきの威厳はどこに?
今、隣にいる可愛い生き物は何だろう
「じゃ、待っててね」
「うん」
ランチを取りに行こうとしたら声を掛けられた
「あの、楓さんですよね?」
「そうだけど」
「やっぱり!僕、大ファンで・・・」
「楓、僕が行く」
「繭?」
「楓は座ってて」
「え?」
「座ってて、それから君」
「は、はい」
「ここに居る楓は学生ですよ?慎みなさい」
「すみません」
これは焼きもちかな?
「相変わらずだなー」
「翔」
「ホント、繭は面白い」
「それよりも、翔」
「ああ、わかってる」
今日から和海が登校する
姿はまだ見ていない
「お待たせ」
「ありがとう」
「繭、俺のは?」
「無理!」
「ったく、冷たいなー」
「熱いから気を付けて」
「うん」
そして相変わらずのパンの量
周りの生徒達は、翔や氷龍に見とれていた
「いただきます」
そう言ったと同時にざわめきと聞き覚えのある声がした
「繭!翔!やっと会えましたね」
和海が冬矢とやって来た
周囲が更にざわめきだした
「用事は無いんだけど」
「繭、どうしたのですか?」
そう言いながら差し出した和海の手にフォークを突き刺した
いつもなら簡単にかわすのに
「いっ・・・」
繭も力を抜いていたみたいだけど、しっかり血は流れていた
「繭、やりすぎだ」
「いつもの事でしょ?」
「申し訳ありません、驚かせてしまって」
「和海様!あちらで手当てを」
「和海様、大丈夫ですか?」
来た来た、ウサギ共が
「何ですか、貴方達は?」
「えっ?」
「冬矢、すみません保健室へお願いします」
「ああ」
本当にまだ記憶が?
「お前達のご主人様は記憶を無くしてるからもう用はないぞ」
「えっ?」
「その首輪も意味は無い、さっさと外したら?」
「嫌です!」
「勝手にしろ」
翔は呆れていた
と言うか、今の一件で繭は怖いと思われてしまったみたい
「繭、フォークを」
「避けなかった」
「そうだね」
「でも、繭も力を抜いただろ?」
「・・・・・・・・・」
「楓、部屋に戻る」
「わかった」
繭も混乱しているのかもね
記憶を無くしているかも知れないから本気では刺さなかったみたいだし
「少し休もう」
「うん」
「授業はどうする?」
「今日は無い」
「そっか」
午後からまた生徒総会だった
繭の話は終わっているから少し休む時間はありそうかな
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