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目を覚ますと、繭が眠っていた
ここは病院みたいだけど、ホテルみたいだな
「そっか、俺とした事が不覚」
繭が心配で周りが見えていなかった
まさか拳銃を持っているとはね
急所を外すのが精一杯だったから撃たれても仕方が無いけど
「繭、無事でよかった」
ずっと傍に居てくれたんだ
俺の手を握っている小さな手が愛おしい
「楓・・・」
「繭、ずっと傍にいてくれたんだね」
「だって、楓・・・5日も目を覚まさないし・・・僕・・・」
「ごめんね」
「謝るのは僕の方、ライブが・・・ごめんなさい」
「繭が無事だったからそれでいい、ライブは延期すればいいから」
「でも」
「そんな顔しないの」
「やはり楓は僕の傍にいない・・・」
「それ以上言ったら怒るよ?」
「だけど」
「俺はずっと繭の傍に居る、今回は油断しちゃったけどね」
「楓」
「繭が俺を嫌いになっていなくなれと言うのなら仕方が無いけど」
「そんな事は絶対ない」
「なら離れるとか言わないの」
「ごめんなさい」
「怪我は?」
「大丈夫」
「よかった」
「楓」
「ん?」
「もし、もし・・・ギターが弾けなくなったら?」
「そんな俺は嫌?」
「嫌じゃない!」
「俺は繭がいればそれでいい」
「僕も楓しかいらない」
「うん」
もしかして、俺が目を覚ますまでずっとここに?
「俺はもう大丈夫だから繭は少し寝た方がいい」
「平気」
「ダメ、隣においで」
「・・・・・うん」
繭は素直に隣に来た
点滴とか鬱陶しいけど仕方が無い
「おやすみ」
「おやすみ」
傷はそれほど痛まない
だから繭を抱きしめて眠った
繭は、泣いているようだった
そんな震えている繭の頭を優しく撫でた
繭は一人でいつも戦ってるんだ
目に見えない敵と毎日毎日
俺には想像の出来ない世界
でも、存在する世界
携帯を取り、ラインを確認した
メンバーには悪い事をしたな
ー大丈夫か?翔から聞いたぞ、ライブは延期したから気にしないでしっかり治せよ!あと、目も覚ませよ!!死んだら呪うからなー
葵からだった
ー楓、心配で心配で眠れないんだからね!早く目を覚まして安心させてよねー
華からのライン
ーお前が死ぬ事は無いとは思うが、もし死んだら棺の上にしいたけを死ぬほど置いてやるからな!
早く目を覚ませよ、ライブは心配しなくてもいいからなー
冴だ
しいたけが大嫌いなのに乗せられたら成仏できないし
ー楓、早く目を覚ましてね!すごく心配だけど楓なら絶対大丈夫だよね?信じてるからね!ー
湊・・・
ーお百度参りをしようと思ってるよ、早く目を覚ますように祈ってるからねー
洸、お百度参りって・・・
だけど、みんなの気持ちが嬉しくて、涙が出そうになった
ライブの事を責める奴は一人もいない
俺は、本当に幸せ者だな
みんなにはただ一言だけのラインを送った
ーおはようー
そして携帯を置き、目を閉じた
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