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翔がいない、と言うか見つからない
人だかりがある所に必ずいるんだけどな
せっかく、限定のシフォンケーキを持って来たのに
むっ!あそこに人だかりが出来てる
あそこにいるかも
急いで人だかりに向かい、翔を捜した
「どこだよー、翔!」
「これはこれは」
「うっ・・・・・和海さん」
「どうしたのですか?」
そうだった
この人も人だかりが出来る人だった
でも、冬矢がいないけど
「翔を捜しているのですが」
「今日は見ていませんね」
「わかりました」
これ以上ここに居ても時間の無駄だね
中庭に出て捜す事にした
「と言うか、この学園めちゃ広いんだった」
和海さん、記憶を無くしてから優しくなったんだ
笑顔で取り巻き達と会話をしていたし
前なら考えられないね
「だめだ、もう無理・・・いてっ!」
上からどんぐりが降って来た、じゃなくて飛んで来た
「何?」
「お前、ボーっとしすぎだろ」
「翔!捜したよー」
「ん?」
「これ!一緒に食べようと思って」
「シフォンケーキ?」
「うんうん、しかも限定!」
「なら・・・来い」
そう言って木の上から飛び降りた翔
天使のように見えたのは、気のせいじゃないはず
「どこいくの?」
「どうせなら美味しく食べたいだろ?」
「うん」
やって来たのは、温室
「入れ」
「わかった」
相変わらずいい匂い
すごく癒される
綺麗な花々を見ながら奥へ進み、白いテーブルセットの前までやって来た
「そこに座ってろ」
「うん」
本当にお花の宮殿みたい
見た事が無い花もたくさんある
「おまたせ」
「あっ、紅茶?」
「だな、後はこれ」
「ハチミツ?」
「かけると美味い!」
「量が多すぎない?」
「少ないぐらいだろ」
「マジ?」
箱の中からケーキを取り出し、お皿の上に乗せた
「はいどうぞ」
「サンキュー」
そう言ってハチミツをめちゃかけた翔
シフォンケーキがはちみつの池に溺れてるみたい
「やっぱ美味い!」
「うん、美味しいね」
紅茶も美味しい
薔薇の香りがほんのりした
「ねね、そう言えばさっき翔を捜してる時に和海さんが居たんだけど」
「そりゃいるだろ、和海も生徒だし」
「うん、でも冬矢さんが居なかったんだ」
「へぇ」
「いつも一緒に行動していたのにね」
「お前も放置だしな」
「それはもういいんだ」
「ん?」
「うん」
「どうした?」
「俺とは釣り合わない人だし、ずっと放置されたからそう言う事なのかなって」
「お前、それでいいの?」
「うん」
「本気で言ってる?」
「俺ね・・・・・俺」
「うん」
「翔の方が好きみたい」
「え?」
「ち、違うよ!変な意味じゃなくてさ」
「友達としてって事?」
「う~ん、友達よりはもう少し上?」
「親友?」
「もう少し」
「大親友?」
「からかってるよね?」
ホントは大好き
冬矢も好きだったけど、翔の優しさに心変わりしたみたい
ホント、ダメな俺
「冬矢が泣くぞ」
「和海さんが大事なのは理解していたつもりだったんだ・・・だけどさ」
「そっか、もう話さなくていい」
「うん」
ほらね
そう言う何気ない優しさが好き
この気持ちは叶わないけど、傍に居られるだけでいいんだ
「人生ゲームでもやるか」
「二人で?」
「ここにもあるし」
「やる!」
「オッケー!」
二人で居られる事が嬉しかった
温かい温室の中で楽しい時間を過ごした
柔らかい陽射しと、綺麗な花々
翔の笑顔と美味しい紅茶
きっとこれは神様がくれた時間なんだ
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